「ストロング系」愛飲者たちに起きていた大変化 愛飲していたシニア層でも中アルにシフト
東洋経済オンライン / 2024年2月22日 7時0分
2024年に入って、メーカーから相次いで取り扱いを減らすと発表されたストロング系チューハイ。以前は、少量でもすぐに酔えるコスパのよさや手軽さなどから人気となっていた商品だ。ストロング系チューハイに何が起きているのか、消費のトレンドを時系列で見てみたい。
全国のスーパー、コンビニ、ドラッグストアなど、約6000店舗の販売動向を追っている「インテージSRI+」から、チューハイの家庭用市場規模の推移をアルコール度数別に確認する。ここで、チューハイとは、サワーやカクテル、ハイボールなど割らずにそのまま飲めるRTD(Ready To Drinkの略)全般とした。
「ストロング系」高アルから中アルにシフト
チューハイの市場規模は成長を続けており、2023年には5333億円となった。2013年との比較でおよそ2倍の規模と大きく伸びていることが見て取れる。
度数別に見ると、8~9%台のストロング系「高アル」の市場規模が2013年から2018年にかけての5年で2倍を超える1650億円にまで拡大。2016年から2018年にかけては5~7%台の「中アル」の規模を上回っていた。同じ量、同じ価格でも度数が高いほど酔いやすいとコスパが重視されていたのだろう。
ところが、2019年には中アルの市場規模が再び高アルを上回った。中アルの伸長には、甘さを抑えたすっきりとした飲み口で食事に合わせやすいと訴求するレモンサワーの人気が寄与したとみられる。レモンサワーだけではなく、プレーンサワーなどでも甘さを抑えて食事と合わせやすい商品が発売され、中アルの市場規模は2023年にかけて好調を維持。2023年には10年前の2013年と比較して3倍を超える3282億円となった。
一方、高アルの市場規模は2020年に伸び悩んだ後、2021年からは減少に転じている。2023年にはピークの2020年と比べ20%以上減少し、1365億円となった。
高アルの苦戦要因として、度数が強すぎるお酒による健康への影響が懸念されたことが挙げられる。減少傾向が顕著となった2020年は、新型コロナの感染が急速に拡大した年でもあった。コロナの重症化リスクを下げようと健康志向が高まったことも高アルを控える動きにつながったと考えられる。
また、コロナをきっかけとして、生活様式は大きく変化した。コロナ前は、毎日のように通勤し、帰宅後に時間をかけずに酔いたい時に高アルを飲むこともあったのではないだろうか。コロナ以降は、在宅勤務や外出自粛により家で過ごす時間が増えたため、酔いやすさよりも、食事と一緒にお酒を楽しむことを重視するようになってきたとうかがえる。
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