開戦2年、写真家が見た「ウクライナ前線の街」の今 ロシアによるウクライナへの侵攻から2年
東洋経済オンライン / 2024年2月23日 18時10分
ロシアによるウクライナへの侵攻から2年。現地を拠点に活動する写真家によるレポートです。
2月17日、現地時間2時3分。ウクライナ軍参謀本部のフェイスブックページに「ВАЖЛИВО(重要)」の大きな文字とともに声明文が投稿された。
【写真】アウディーイウカが陥落する直前、ウクライナ軍の拠点となったコークス工場で撮影されたウクライナ兵たち
発信者はウクライナ軍のシルスキー総司令官。「アウディーイウカ周辺の作戦状況に基づき、私はわが部隊を撤退させ、より有利な地点での防衛に移ることを決定した」、と書いてあった。
空襲警報が響く長い夜
その夜、アウディーイウカから64キロメートル北にあるドネツク州のクラマトルスクと、筆者の自宅があるスラビャンスクに砲撃が相次いだ。最初の一発は19時半ごろ。筆者は子犬の散歩中で、爆発音に驚いた近所の犬とともにアパートへ駆け込んだ。
その後1時間にわたって10発弱の着弾音が聞こえた。「アウディーイウカが陥落したら、この街にも影響が及ぶ」。そう聞かされていた住民たちは、窓から光が漏れないようカーテンを閉め、空襲警報が響く長い夜を過ごしている。
【地図:狭まるアウディーイウカの包囲網】
左上より2月1日、右上が2月14日、左下が2月17日(10:03)、右下が2月17日(14:32) (地図:DeepStateMapより)
プーチン大統領が目論むドネツク州の完全制圧に向けて、要衝と位置づけられたアウディーイウカ。人口3万5000人、面積29平方キロメートルの工業都市は、2014年に勃発したドンバス紛争以降、最前線になってきた。親ロシア派が支配する州都、ドネツク市から北へわずか15キロメートルのところにあるからだ。
昨年、ロシア軍に対する反転攻勢が失敗したウクライナ軍は、アウディーイウカを死守するため兵力を集めた。先鋭部隊の第47独立機械化旅団は、ザポリッジャ州に展開していた最新型の戦車、レオパルト2とともにアウディーイウカへ移動した。
前線で負傷した兵士の応急措置をする野戦病院のスタッフも移動を求められた。筆者が所属する人道支援団体「マリウポリ聖職者大隊」のユーリ・イワノビッチ(48)もその一人だ。
昨年6月の反転攻勢開始以来、ユーリはザポリッジャ州のロボティネ付近にある野戦病院で医療補助のボランティアをしていた。アウディーイウカの野戦病院に着任したのは昨年の12月17日。仮設の治療室には5台の手術台があり、心拍数を表示する機器や点滴が配置されていた。
ユーリから届く凄惨な現場の動画
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