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スタバ「巨大企業帝国」がはらんできた数々の矛盾 矛盾に満ちた経営が、独特な共同体を作り上げた

東洋経済オンライン / 2024年2月25日 12時0分

さて、連載も終わりに近づいてきた。ここで最後に、スターバックスを今後語るときに有効な視座をいくつか出しておこう。

最後に私は「国家としてのスターバックス」という壮大なアイデアを提案したが、こうして考えたときに、興味深い比較の対象となるのが、ディズニーランドをはじめとするテーマパーク産業とスターバックスの比較である。

実はテーマパークもまた、一つの「国」を作ろうとしてきた歴史がある。特にディズニーランドは、その創設者であるウォルト・ディズニーが理想とする国を作ろうとしてきた歴史が色濃い。そういえばディズニーランドのチケットは「パスポート」というが、まさにそれはディズニーランドが一つの国であることを表しているようにも思える。

スタバを今後考えるために

また、雑誌『戦略経営者』の2000年9月号で「TDLとスターバックスに見る『顧客に惚れさせる』演出」という記事が掲載されている。その2つは、そこでしかできない「体験」を売っていることが共通点だと記事は書いている。

スタバとテーマパーク。この2つは、全く別物だから、ビジネス的な観点からいえば、それらを比較することはナンセンスだといえるだろう。しかし、顧客側に立ったときの視点からいえば、明らかにその2つは似ていて、比較するのに足るのではないか。

GAFAも、国家並の経済的な規模感をすでに持っている

また、スタバとGAFAの比較も、多くの気づきを私たちに与えてくれるだろう。先ほども述べたように、スタバが作り上げているような新しい「国家」を、また別に作っているのがGAFAなどの巨大企業である。

特に、今回の連載ではあまり触れることができなかったが、「スタバ」と「Apple」の親和性の高さは特に考える必要がある。

「スタバ」が矛盾をはらんだ企業であることは見てきた通りであるが、アップルもまた、数々の矛盾をはらんだ企業である。多くの人々が使っているブランドでありながら、そこにやはり独特な特権性を持たせている。この点でいえば、スタバと同じようなポジションを持っている。

こうした数々の「企業帝国」の中にスタバは位置している。それらの「企業帝国」の地政学を読み解く作業もまた、スタバという企業の分析を行う中でできるのではないか。

さて、6回にわたってお送りしてきたスタバに関する連載もこれで終了である。まだまだ語り尽くしていないことは多いが、これまでにはない角度からスタバについて語ることができたのではないか。

それでは筆者は、疲れた脳を癒しに、スタバという国に旅行してこようと思う。

谷頭 和希:チェーンストア研究家・ライター

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