1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

シビックRS対新型GRヤリス、ホットハッチに脚光 一大ブームを起こしたジャンルに回帰する理由

東洋経済オンライン / 2024年2月25日 11時50分

オジエ エディションには、「MORIZO(モリゾウ)モード」という設定もあるのが面白い。モリゾウことトヨタ会長の豊田章男氏が、自ら走り込んで導き出した前後輪の駆動力配分らしく、オジエ選手が気に入ったことで採用したという。

また、ロバンペラ エディションでは、円を描くように車体を回転させるドーナツ・ターンが得意なロバンペラ選手向けに、「DONUT(ドーナツ)モード」も設定。これは、前後輪のスライドコントロール性をやりやすくする制御で、車体を横滑りさせながら走るドリフト走行時にも効果を発揮するという。

なお、これらモデルも価格は未発表だが、2024年春頃に抽選申し込みを開始し、各タイプともに100台限定で発売を予定しているとのことだ。

こうしたホットハッチモデルの新型車が発表されるのは、東京オートサロンならではといえるだろう。1983年の「東京エキサイティングカーショー」から続くこのイベントは、もともとチューニングカーと呼ばれるカスタマイズ車両の展示会から発展しているからだ。チューニングカーとは、市販車をベースに、エンジンをパワーアップしたり、足まわりなどを強化したり、走行性能をアップするカスタマイズのことだ。ホットハッチやボーイズレーサーなどと同じく、1980年代や1990年代に一世を風靡し、サーキットはもちろん、ワインディングなどの公道でも、前述した走り屋たちを虜にした。

東京オートサロンは、そうした歴史を持つことで、来場者にもレースなどのモータースポーツ愛好家やスポーツカー好きも多い。また、走り屋と呼ばれた世代にも支持されている。当然ながら、今でもホットハッチのクルマを愛するユーザーも数多く足を運ぶ。つまり、このショーでそうしたジャンルの新型車などを披露すれば、確実に購入が見込めるユーザー層へアピールすることが可能なのだ。自動車メーカーが、あえてスポーティなモデルをこのショーで初披露する理由は、まさにこの点にある。

クルマ好きに向けたメッセージ

SUVや電動化モデルが全盛の今、ガソリンエンジン車のみの設定で、走りに特化したホットハッチは、当然ながら、かつてほどの販売台数は望めないだろう。だが、昔ながらの「クルマ好き」、メーカーにとって長年のお得意様と呼べるユーザー層の心には、確実に「刺さる」というわけだ。また、ホットハッチなどのスポーツモデルを出し続けることは、そうした層の「選択肢を減らさない」という、メーカー側の良心でもあるのだろう。

さらに、このショーが、今や世界的なカーイベントになったことも背景にある。近年は、海外メディアだけでなく、欧米やアジアなどからのインバウンドも数多く来場する。まさに、世界中にいるクルマ好き、とくにスポーツカー愛好家などに、自社の新型車をアピールできるのが東京オートサロンだ。かつての「走り屋イベント」が、現在、国内の主要な自動車メーカーから重要視されている理由には、こうした側面もあるのではないだろうか。

平塚 直樹:ライター&エディター

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください