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重度障害者を支える元パナ技術者開発のスイッチ 「アメリカ製品の廃番」の危機を受けて製品化

東洋経済オンライン / 2024年2月25日 8時0分

メリサさんは以前、iPadを指でスワイプして扱えたが、症状の進行で難しくなった。スイッチコントロール機能の活用を試みたものの、小さな手にフィットする既製品はなかなか見つからなかった。

母親の萌さん(33歳)が訪問リハビリのヘルパーと相談しながら、100円ショップで買ってきたドアストッパーを改造してスイッチを製作。計15個ほど試したが、どれもメリサさんの手になじまなかった。

困っていたところ、松尾社長のプロジェクトを知って即購入。メリサさんはすぐに使いこなし、ハーフスイッチは日常生活や学習になくてはならない必需品となった。萌さんはこう語る。

「娘と同じようにスイッチで苦労する患者は大勢いると思います。しっくりくる物に巡り会えて本当に助かりました。メリサの夢は、ディズニーランドへ行ってミッキーマウスとお喋りすること。実現のために、このスイッチで学校の授業を頑張って、言葉をたくさん覚えてほしいです」

家電操作リモコンも商品化

少し照れくさそうな表情を浮かべながら、記者の前でiPadなどの電子機器を操るメリサさん。その姿を満足そうに見つめる松尾社長は2023年12月、重度障害者向けのスマートリモコン「リモコンエール」を発売。誰でもスイッチ1つでテレビのチャンネルや音量を自在に変えられるようになった。

このリモコンはiPhoneなどにつないで使用する。今後のアップデートでエアコンや照明など、ほかのさまざまな電化製品にも対応するという。iPadで使用できる廉価な意思伝達装置のアプリなど、さらなる新製品も開発中だ。

「私は医者ではないので、障害や病気を治すのは不可能です。それでも、患者さんの生活が少しでも豊かになるよう、できることを1つでも増やしてあげたいんです」

そう意気込む松尾社長の挑戦は、まだまだ終わりそうにない。

石川 陽一:東洋経済 記者

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