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オムロン「純利益98%減」で社長が示唆した懸念 「顧客起点が薄まっている」という根深い問題

東洋経済オンライン / 2024年2月27日 7時50分

決算説明会で危機感を述べた辻永順太社長(画像はオンラインで開かれたオムロンの決算説明会のキャプチャ)

「私は今回の下方修正、この現状に直面し、たいへん強い危機感を抱いている。この状況に陥ったオムロンの本質的な問題が浮き彫りになったとも感じている」

【2023年度の営業利益予想】オムロンの業績予想は2023年4月発表時と比べると大きく下がった

制御機器大手のオムロンが2月5日に開いた四半期決算説明会。辻永順太社長は険しい表情でそう語った。2023年度の業績見通しを修正、純利益予想を前年度比98%減の15億円に引き下げただけに当然のことだった。

昨年4月の年度初めの時点では売上高8900億円(前年度比1.6%増)、営業利益1020億円(同1.3%増)、純利益745億円(同0.9%増)を見込んでいた。

2回目の下方修正で株価は一時ストップ安

昨年10月の中間決算発表のタイミングで、その予想を売上高8500億円、営業利益450億円と大幅に下方修正した。そして今回。売上高8100億円、営業利益240億円ともう一段引き下げた。

予想のさらなる引き下げのインパクトは強く、オムロンの株価は一時ストップ安に。こうなった背景には、同社の進めてきた事業戦略が影響している。

体温計や血圧計などで消費者にもなじみが深いオムロン。だが、そうしたヘルスケア関連の売上高は全体の2割弱にすぎない。

稼ぎ頭は工場のラインで使われるロボットやセンサーなどの制御機器だ。2022年度は全社ベースで売上高の約55%、営業利益の約85%を占めた。辻永社長は昨年4月の就任まで同事業部門のトップを務めていた。

今年度、足を引っ張っているのが、この制御機器だ。同事業の営業利益は年度初めの時点で880億円と増益を見込んでいたが、逆に約8割減益の140億円となる。

大幅な採算悪化の原因について辻永社長は、「ボラティリティ(価格変動)の高いデジタル、環境モビリティ業界に加え、中国市場の投資需要に依存している」との分析を示した。

オムロンのIR担当者も「戦略的に業界のトップメーカーを押さえることに注力してきた。それが今は裏目に出ている」と話す。具体的には、半導体関連やEV(電気自動車)向け二次電池の設備投資に関わる受注において、一部の大口顧客に依存する割合が高いのだ。

「両刃の剣」だった大口顧客依存

制御機器事業部は近年、製品とソフトウェアを組み合わせて顧客に提案するという高付加価値化に力を入れてきた。顧客の課題を基にAI(人工知能)などを活用して、自動化を一段と進化させる新たなアプリケーションを生み出してきた。

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