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オムロン「純利益98%減」で社長が示唆した懸念 「顧客起点が薄まっている」という根深い問題

東洋経済オンライン / 2024年2月27日 7時50分

一方、こうした高度で複雑なシステムを生産ラインに必要とする企業は、業界の最先端を走る大手に偏りがちだ。そこに深く食い込んでいれば、取引先が好調な時は流れに乗って数字を伸ばせる。

ただ、顧客の偏りは「両刃の剣」でもある。

実際、新型コロナ禍が一段落した2020年度以降、オムロンは右肩上がりで業績を拡大していた。半導体やEV関連などでの旺盛な生産能力増強の需要をうまく取り込み、成長の糧としてきたのだ。

ところが、今年度は中国の景気が低迷。それに引きずられる形で、大口顧客による設備投資の延期や縮小が相次いだ。

年度後半から需要が回復するだろうという見立ても外れ、満足な受注を見込めなくなった。これが大幅な下方修正となった最大の要因だ。

ファクトリーオートメーション(FA)関連の事業環境が良くないのは他社も同じだ。

キーエンスやSMCとの差

センサーなどで大手のキーエンスは、2023年3~12月までの累計で営業利益が前期比で2.6%減だった。空圧制御機器で世界1位のSMCも2023年度の業績予想を下方修正。営業利益の着地は前年度比で22.2%減となる見込みだ。

その中でもオムロンの下振れはやはり突出している。あるFA関連企業の幹部は「キーエンスやSMCは顧客層が幅広く、特定の分野や地域への依存度が低い。その差が如実に現れている」と指摘する。

オムロン製品を販売する代理店での在庫滞留も痛手となった。

「半導体や二次電池の投資はアップダウンの差が激しい。立ち上がる時は本当に早い」(IR担当者)。そのため、代理店側は早めに在庫を多く確保しておこうと動いていた。コロナ禍によるサプライチェーン混乱が記憶に新しいことも影響した。

ところが先述した理由で顧客からの受注が低迷。代理店で積み上がった在庫の消化はなかなか進まず、オムロンの売り上げにも響いた。代理店在庫の水準が正常化されるのは、2024年度の前半になると同社はみる。

こうした状況を踏まえ、オムロンは2023年10月からの2年間を構造改革期間と位置づけ、制御機器事業の立て直しに取り組むと表明した。ポートフォリオを見直し、特定の顧客や地域、製品への依存からの脱却を目指すという。

オムロンは2月26日、構造改革方針を発表した。制御機器事業を中心に収益を立て直し、ほかの事業も含めて成長基盤の再構築を図る。会社全体では固定費約300億円の圧縮も行い、国内外で合計2000人の人員を削減する方針だ。

制御機器以外の事業も環境は同じ

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