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インテル「TSMC追撃」150兆円目指す半導体市場 ゲルシンガーCEOが高らかに宣言した「新戦略」

東洋経済オンライン / 2024年2月27日 11時20分

そして、TSMCやSamsungに比べて遅れていた、製造技術の開発もキャッチアップが進んでいる。2月21日(アメリカ時間)にIntelがサンノゼで開催した「Intel Foundry Direct Connect 2024」では、これまでIntelが実行してきた「4年で5ノード」という意欲的な製造技術のロードマップが予定通り実行されており、本年の末までに競合他社が実装できていない「PowerVia」と呼ばれる最新技術を採用した「Intel 20A」、「Intel 18A」の製造を開始する予定であることを明らかにした。これはTSMCやSamsungなどでは3nm、2nmと呼ばれている製造技術に相当するもので、これまで両社に後れを取っていた製造技術面で追い付く形になる。

さらに今回Intelは、Intel 14Aという次世代の製造技術を2025年以降に投入することを明らかにしている。このIntel 14Aでは、高NA EUV(極端紫外線)という新しい露光技術を業界で初めて導入し、微細な配線をより容易に現像することを可能にする。従来のEUVの導入ではTSMCやSamsungに数年の後れを取っていたのに比べて、大きく局面が変わりつつあることを印象づける発表だ。

また、TSMCやSamsungのファウンダリにない強みとして、Intelは後工程と呼ばれるチップ組み立て工程も含めてサービスを提供できることをあげる。Intelはそうした後工程の技術として3Dチップレットと呼ばれる複数のチップを3D方向に積層していく技術を、他社に先駆けて大規模に提供を開始しており、今後そうした技術もファウンダリ事業の顧客に提供することで、他のファウンダリとの差別化を目指す。

このように、他のファウンダリと競争していく技術的な要素はすでにレディな状態となり、顧客がIntelのファウンダリサービスを利用して半導体を製造するという準備が整いつつある状況だ。

競合するArmともパートナーシップを組む

しかし、そうしたファウンダリ事業の準備が整っても、実際にサービスを利用してくれる顧客企業が現われなければ絵に描いた餅になる。その時にハードルとなるのはIntelの製品部門とIntelファウンダリを利用する顧客企業との利益相反だ。

例えば、データセンター向けのCPUで、Intelの「Xeon」は、AMDの「EPYC」やArmベースのCPUを製造しているAWSの「Graviton」やMicrosoftの「Cobalt」と競合している。仮に、AWSやMicrosoftがそうしたArmベースのCPUをIntelのファウンダリを利用して製造したいと言ってきて、それがIntelブランドの製品を駆逐してしまったらどうするのか?

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