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政府が「物流2024年問題」をこんなにも"煽る"事情 トラックドライバーの残業規制だけではない

東洋経済オンライン / 2024年2月27日 14時0分

それでなくとも、日本は少子高齢化の進行に伴う労働力人口の減少という構造的な社会課題を抱えている。

2020年の就労可能人口(15~64歳人口)は7509万人だったが、2032年には7000万人、2043年には6000万人、2062年には5000万人を割り、2070年には4535万人まで減少すると予測されている。

このままの状態を放置すれば、トラックドライバーのなり手が減っていくのは火を見るよりも明らかである。

では、トラックドライバー不足を放置するとどうなるのか。

例えば、スーパーマーケットにいつも食品が並んでいるのは、物流があるからだし、鉄道が安定して運行できるのは、補修部品などを定期的に補充する物流があるからだ。

当たり前過ぎて、忘れられがちなのだが、私たちは、物流があるから、健全で安全な日々を過ごすことができる。そして、国内を流通する荷物の9割は、トラックが運んでいる。

「何もしなければ」輸送能力は3割低下

しかし、そのトラック輸送の担い手であるトラックドライバーが人手不足の危機にある。リクルートワークス研究所による試算では、このままトラックドライバー不足に手を打たないまま放置すると、「2040年には、『荷物が届かない』ことによって日本の1/4の地域は、事実上居住困難になる」と警鐘を鳴らしている。

2024年問題は、2024年に生きる私たちの課題だけを解決しようとする、短期的なものではない。物流に起因する社会課題と、それによって引き起こされる未来の日本社会を憂慮し、子どもや孫世代にも、健全に生活できる社会を引き継いでいこうという取り組みなのである。

2024年問題のときによく挙げられる数字が下図だ。現状だと、2024年度には輸送力が14%(トラックドライバー14万人相当)、2030年度には34%(トラックドライバー34万人相当)不足することになる。

だが実は、2030年の34.1%(9.4億トン)の輸送リソース不足のうち、2024年問題に起因する輸送リソース不足は、約半分(14.6%、4億トン相当)である。残りは、現状にあぐらをかき、トラックドライバーの人手不足対策などの運送ビジネスの歪みを放置した場合における、自然な推移によって生じる影響なのだ。

つまり、「モノが運べない(運んでもらえない)」物流危機は、遅かれ早かれ日本社会を直撃することになる。だからこそ、手遅れになる前にきちんと運送ビジネスの歪みを是正しなければならない。

具体的にはどんなことをすべきか

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