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「もうトラックは降りる」運転手たちが語る辛さ 「2024年問題」対策への現場の強烈な違和感

東洋経済オンライン / 2024年2月29日 13時0分

先の規制緩和によって、現場にもたらされたものがある。それが「荷主至上主義」だ。ドライバーの労働時間の長さもこの古い商慣習によるところが大きい。

その最たる原因になっているのが「荷待ち」だ。現場では、指定の時間になってもドライバーが荷主の都合で敷地内に入れてもらえないことが常態化している。企業間輸送の場合「時間通りに荷物の受取人が対応してくれなければ不在票を置いてその場を立ち去る」というわけにもいかず、呼ばれるまでその場でひたすら待ち続けなければならない。

政府が発表したトラックドライバーが強いられる荷待ち時間の平均は1.5時間。しかし、現場に言わせれば「1.5時間は優秀」「半日待たされるとかザラ」で、筆者がこれまで取材してきた中で最も長いケースは、21時間半だ。現在、多くの現場でこの荷待ち料が発生していない。

そんな現状とは裏腹に、去年発表されたアンケートでは施行まで1年というタイミングになっても、自社に来ているトラックがどのくらい荷待ちをしているか把握している荷主の割合は、発荷主で16.7%、着荷主になると12.7%にしか達していない 。

苦行に近い「待たせ方」の大問題

現在、国はこの荷待ちの時間を短くすべくようやく動き始め、改善しない一定規模以上の荷主に対して最大100万円の罰金を科すなどの方針を打ち出した。しかし、現場においてこの「荷待ち時間の“長さ”」以上に改善すべきだと強く思うのは、その“待たせ方”だ。

ドライバーはその多くの荷待ち現場において待機所も用意されず、「呼ばれたらすぐに入れるところで待っているように」と指示される。

呼ばれてすぐに入庫できる場所は、もはや路上しかない。前のトラックが進めば自分も詰めなければならず、仮眠を取って待機していることもできないうえ、路上には当然トイレもない。そのため、トイレに行く回数を減らすべく、摂取する水分を減らすドライバーもいる。

真夏でも「近所迷惑になる」「排ガスを抑えるように」とアイドリングストップさせられるドライバーのなかには、暑さに耐えかねてクルマの下にもぐって待機する人までいる。

実質的に「路上駐車」を強要されるにもかかわらず、駐車違反で取り締まられるのも、「マナーが悪い」と後ろ指を指されるのもトラックドライバーなのだ。

こうした彼らの労働実態に目を向けず、荷待ちの時間ばかりを改善しようとするのは、やはりドライバーの労働環境の改善よりも、「荷待ち時間が長いと荷物が運べなくなる」ことを懸念しているからなのでは、と思えてならないのだ。

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