「もうトラックは降りる」運転手たちが語る辛さ 「2024年問題」対策への現場の強烈な違和感
東洋経済オンライン / 2024年2月29日 13時0分
「働き方改革」が現場に合っていないと感じるのは、これだけではない。そもそも全国の職業ドライバーを一律「時間外労働960時間」で縛ること自体、理にかなっていない。
日本は縦に長い国だ。それも、都会と地方の人口比率の差が非常に大きい。人口に差があれば、必然的に都会と地方に運ぶ物量にも差が出てくる。
なかでも問題意識が高く、筆者のもとにくる講演依頼で最も多いのが「東北地方」だ。東京や大阪などの都市部周辺で地場配送をする運送事業者と、東北から鮮度が求められる野菜や魚を長距離輸送する運送事業者では、抱えている問題がまったく違う。運送業界は、その運ぶモノや地域によっても完全な「異業種」なのである。
多様化すべきは運ぶ手段ではない
現在までの物流は、ドライバーたちの「トラック好き」に甘えてきた。過酷な環境や理不尽な現場でも、彼らのトラックへの愛情によって物流は支えられてきたのだ。
働き方改革は、そんな疲弊したドライバーの「労働環境を改善する」ためのものではなかったか。労働時間短縮で下がった賃金を、本業終業後さらに体を酷使して補填させたり、ドライバーから、大好きな仕事の現場を奪ったりすることが「働き方改革」なのだろうか。
国が打ち出す2024年問題の解決策は、外国人労働者や女性トラックドライバーの受け入れ、モーダルシフトに自動運転車の開発にと、枚挙にいとまがない。が、これは「運び方改革」ではなく「働き方改革」である。本来多様化すべきは「荷物を運ぶ手段」ではなく、「ドライバーの働き方」ではないのか。
労働時間だけ短くすればいい、人材が足りなければよそから連れてくればいい、機械化すればいい、とするのではなく、地域差や輸送距離、運ぶモノに合わせ、今いるドライバーの働き方を多様化し、働きやすい環境を作らなければ、新しい人材どころか、現在いるドライバーすら失うことになりかねない。
「持続可能な物流」というのは、そういうことを言うのだと、現場を見続けて強く思う。
橋本 愛喜:フリーライター
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
息子が運送業界に就職したのですが、「物流の2024年問題」を気にしています。労働環境は整備されるのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月3日 4時40分
-
「2024年問題」に対する運送関係者と一般消費者の意識・理解に大きな差が!?神奈川県トラック協会が「物流の2024年問題」に関する意識調査を実施
PR TIMES / 2024年6月25日 13時15分
-
AIでは無理!物流トラック「人力仲介」のすごみ 2024年問題で脚光、名古屋企業トランコムの奮闘
東洋経済オンライン / 2024年6月22日 8時40分
-
物流2024年問題の解決には業界再編が不可欠/日沖 博道
INSIGHT NOW! / 2024年6月19日 7時7分
-
〈トラック運転手不足〉「5年後には今と同じ運び方は不可能」ヤマトHDが乗り出す共同輸送ビジネス
財界オンライン / 2024年6月18日 18時0分
ランキング
-
1「楽天ブラックカード」これまで招待のみだったが、申込受付を開始 特典は?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月5日 13時7分
-
2知っていたらもっと早く仕事を変えたのに…65歳以上も働き続けることで減額されてしまう「年金の落とし穴」
プレジデントオンライン / 2024年7月5日 9時15分
-
3愛・地球博から約20年“夢の道路の続き”ついに動く 「名古屋瀬戸道路の“側道”」東名の南側へ
乗りものニュース / 2024年7月6日 8時12分
-
4株高なのに円安の恩恵が広がらないのはなぜか 岸田政権の大きな政策ミスを教訓にできるか
東洋経済オンライン / 2024年7月6日 9時0分
-
5ソニーが録画用ブルーレイディスク生産終了へ、光ディスクの記録メディアから完全撤退「市場が縮小」
読売新聞 / 2024年7月5日 18時12分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)