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佐々木麟太郎の「5000万円奨学金」に見る日米差 「日本と違って凄い!」…とは単純には言えない

東洋経済オンライン / 2024年3月1日 7時20分

また、日本で奨学金というと、筆者の連載「奨学金借りたら人生こうなった」で紹介している事例のように、第一種奨学金(無利子)と第二種奨学金(有利子)のどちらかを借りたにせよ、社会人になって半年後には返済が始まるという制度である。

そんな中、最近は返済不要の「給付型奨学金」が増えているという例も、これまで取り上げてきたが、日本以外の国で奨学金というと、基本はこのことを指す。そのため、日本独自の「貸与型」の奨学金を外国人に説明する際、「意味がわからない」と言われたこともあるそうだ。

国によって大きく異なる「奨学金」制度。そこで、本稿ではこれまで筆者が取材してきた中で、スカラシップを利用した者たちの話を振り返りながら、海外と日本の奨学金制度の違いについて解説していきたい。

「アメリカの大学にフルスカラシップで留学」とは?

筆者は野球に関する知識は皆無だが、今回のアメリカのフルスカラシップ制度を説明するうえでは、「ジャズ」を例に出すのがわかりやすい。

かつて、日本人が「アメリカの大学にフルスカラシップで留学」するケースといえば、サックス奏者・渡辺貞夫氏に代表されるような、マサチューセッツ州のボストンにある「バークリー音楽大学」への留学が有名である。

そんな彼を導いたのが、現在94歳の現役ジャズ・ピアニストである秋吉敏子氏。彼女は1956年に日本人として初めて同校に奨学生として入学した。

もともと同じカルテットで演奏していた2人だが、先に留学していた秋吉氏に「私がフルスカラシップ(全額奨学金)をとりつけてあげるから、あなたも留学なさい」と渡辺氏は声をかけられ、1962年にフルスカラシップで同校に留学を果たしたのだ。

以後、荒川康男、佐藤允彦、大西順子、大坂昌彦など、日本を代表するジャズ・ミュージシャンたちのほとんどが、スカラシップを獲得して同校に留学している。

つい、先日「ARBAN」という音楽メディアで、90年代初頭にバークリー音楽大学にスカラシップを得て留学した、ジャズ・トランペット奏者の岡崎好朗氏に話を聞いたのだが、当時の状況について、次のように振り返っていた。

「学費全額免除ではありませんが、8割は負担してもらえました。当時は円高で、しかもアメリカも物価が安かったため、学費も1年間で2学期分のセメスターを履修して6000ドル程度だったんですよ。当時の国内の音大は1年間で150万円はかかったのですが、1ドル=80円台だったため、半額以下で通えたわけです」

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