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佐々木麟太郎の「5000万円奨学金」に見る日米差 「日本と違って凄い!」…とは単純には言えない

東洋経済オンライン / 2024年3月1日 7時20分

「日本と違ってアメリカは貸与ではなく返済不要の給付型が一般的なため、『成績優秀者が対象の大学の奨学金』と、『年収600万円以下の低所得家庭出身者向けの奨学金』の2つを受給していました」

「特待生レベル」の扱いを受けるのは一握り

とはいえ、佐々木内野手をはじめ、フルスカラシップで「特待生レベル」の扱いを受けるのは、ほんの一握りである。

「スポーツ報知」の「佐々木麟太郎の学費5000万円免除は「5%以下」の狭き門 スタンフォード大の判断基準」という記事で、名城大准教授・鈴村裕輔氏はこう解説している。

「スタンフォード大の全額奨学金を受けるのは大変なことです。通常1学年に2000人ほど入学しますが、返済義務のない奨学金をもらえるのは5%以下。それも全額ですからね。

その条件としては運動競技に関する実績だけでなく、勉学を含めた書類審査。それに加えて通常の奨学金を得る場合には、入学への目的をリポートにまとめる必要があります」

また、前出の安部氏のコメントでも触れられていたが、アメリカでは日本の貸与型奨学金の代わりに「学生ローン」が普及しており、その利率は8%前後。そのため、借りただけで卒業後に破産する学生も数多くいるというのだ。

また、そもそもの話として、アメリカのスカラシップ制度は、大学OBたちによる「寄付」で成り立っていることも知っておくべきだろう。もちろん強制ではないが、将来的に佐々木内野手が野球で成功した際には、同校から見返りとして、寄付を求められることは十分にあり得ることだ。

日本では「大学進学を目指す者」全員にチャンスが与えられている

こうした寄付文化が根ざしていない日本でフルスカラシップが今後、普及していくことは正直ないだろう。

一方で、成績優秀者や家の経済的な理由から、学費を免除されるケースはこれまでもたびたび聞いてきたため、名前こそ違うが、これらが充実する可能性は大いにある。また、給付型奨学金も、日本学生支援機構のみならず、各大学や、地方自治体など、さまざまなところが給付を増やしている。

さらに、アメリカでは奨学金を得ること自体が難しいが、今の日本は「大学に進学したい」という意志があれば、基本的に第二種奨学金(有利子)の審査は通る。これをアメリカの「学生ローン」と同じと捉えることもできるが、一応日本の場合は利率が現在、0.07%程度なので、かなり低い。

海外の大学の充実したスカラシップ制度や、そもそも安い学費(アメリカ以外)など、羨ましく思える教育制度はたくさんあるが、日本の場合は「大学進学を目指す者」全員にチャンスが与えられているという見方はできる。

これが海外だと、フェアに機会が与えられない……。そう思えば、まだ日本の奨学金制度も捨てたものではないと思い込むことはできるだろう。

千駄木 雄大:編集者/ライター

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