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米フォード、中国工場を「輸出拠点」に転換の思惑 「とても儲かっている」とファーリーCEOが本音

東洋経済オンライン / 2024年3月4日 17時0分

フォードは中国工場で生産した自動車を主に東南アジアや中東の市場に輸出している。写真は自動車運搬船への積み込みを待つ中国製フォード車(同社ウェブサイトより)

アメリカ自動車大手のフォード・モーターが、中国戦略の大幅な見直しを進めている。その要点の1つは、中国工場の輸出拠点化だ。

【写真】フォードのジム・ファーリーCEOは、中国市場の過当競争から距離を置き、戦略の重点を輸出に移す決断を下した(同社ウェブサイトより)

「中国からの輸出は今や非常に重要だ。EV(電気自動車)であれエンジン車であれ、わが社の中国拠点の輸出ビジネスはとても儲かっている」。フォードのジム・ファーリーCEO(最高経営責任者)は2月6日、2023年通期および同年10~12月期の業績説明会でそう述べた。

決算報告書によれば、フォードの2023年のグローバル売上高は1762億ドル(約26兆788億円)、調整後EBIT(利払い・税引き前利益)は104億ドル(約1兆5392億円)だった。同社が力を注ぐEV事業は赤字が続いており、EBITベースで47億ドル(約6956億円)の損失を計上した。

余剰生産能力を輸出に振り向け

フォードは今回の決算で、中国市場単体の業績は開示していない。だが、決算報告書のなかで「北アメリカを除く地域の収益性とキャッシュフローが増加に転じた」と述べ、海外事業の業績改善を示唆。その要因について「中国やその他の地域で投資を抑制した効果が反映された」と説明した。

中国事業に関して、フォードが輸出拠点化を含む戦略転換を打ち出したのは2023年5月のことだ。中国市場への投資額を全体的に減らし、利益率の高い事業に集中すると宣言した。

具体的には、中国市場での販売車種は(利幅が大きい)SUVと(ピックアップトラックなどの)商用車を主力にし、中国工場の余剰生産能力をエントリークラスのEVとエンジン車の輸出に振り向けるというものだ。

フォードの決断の背景には、予想を超えるペースで進んだ中国市場のEVシフトがある。ほとんどの外資系自動車メーカーが急速な変化に対応できず、中国市場でシェアを落としている。

開示情報によれば、フォードの中国市場での販売台数はピークの2016年の127万台から、2022年には49万6000台に減少。同年の中国事業は約6億ドル(約888億円)の赤字に陥った。

そんななか、フォードの経営陣は、中国のEV市場において中国メーカーと正面から競うのはもはや賢明ではないと判断した。2023年8月には、経営権の8割超を握っていた中国のEV開発子会社を、(完成車の)合弁会社である長安フォードの傘下に移管。中国市場におけるEV販売事業に関しても、合弁相手の長安汽車に主導権を委ねる体制に改めた。

VWや日産も輸出拠点化を計画

対中投資の縮小に伴い、長安フォードの工場には生産能力の余剰が生じる。それを遊ばせないための方策が、輸出拠点への転換だ。フォードの中国法人によれば、2023年の中国からの輸出台数はすでに10万台を超えたという。

中国は世界最大の自動車市場であると同時に、今や最大の生産国・輸出国となった。その規模がもたらすコストメリットは計り知れない。フォード以外にもドイツのフォルクスワーゲン(VW)、日本の日産自動車、欧州のステランティスなどが、中国工場を輸出拠点化する計画を相次いで打ち出している。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は2月8日

財新 Biz&Tech

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