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エンタメ公演トラブル「金返せ」はどこまで可能か 帝劇「ジョジョ」の公演中止で気になる返金の条件

東洋経済オンライン / 2024年3月4日 7時50分

「振替公演につきましては、鋭意調整を試みましたが、この度は残念ながら実施することが難しいとの判断に至りました」とし、「公演中止発表以前にご手配済の交通費および宿泊費のキャンセル料、またはキャンセルが叶わなかったお客様は上記交通費および1公演日につき1泊分の宿泊費を、弊社で負担をさせていただきます。また、上記公演回の入場券をお持ちのお客様につきましては、本公演の配信を無料視聴いただけるよう検討しております」としたのだ。

つまり、チケット代の返金に加えて、交通費、宿泊費(1泊分)を補償し(高額であった場合に全額補償しているかは不明)、かつ無料で公演の配信を提示したこととなる。東宝はそれだけ興行主としての責任を重く受け止めたのであろう。

舞台上で主催者がお詫び

事実、ようやく開幕となった12日の公演の舞台上、主催者としてお詫びがなされ、それがホームページでも公開された。その内容は下記の通りだ(冒頭部の抜粋)。

「私は、本公演を主催製作いたしております東宝株式会社で常務執行役員演劇本部長を務めております池田篤郎と申します。本公演の責任者でございます。

この度、私ども東宝株式会社の製作体制における見通しの甘さ、また不行き届きによりまして、公演の初日を本日まで遅滞させましたこと、こちらにいらっしゃるお客様はもちろんのこと、特に中止公演に当たり、ご観劇いただけませんでした大変多くのお客様に、この場をお借りして、心よりお詫び申し上げます。誠に申し訳ありませんでした。

お客様のご信頼にお応えできませんでしたこと、誠に痛恨の極みでございます。この度のような、決してあってはならない事態を再び引き起こさぬように、再発防止を徹底してまいります」

こうした謝罪も異例中の異例だ。そもそもなぜこのような事態になったのか。東宝はその理由を詳しくは説明していないが、演出が複雑で「スタッフ・キャストの安全確保の観点から」中止したと述べている。

演出上危険が伴うのは舞台装置の利用である。大劇場の装置は大掛かりで、帝劇の場合、直径16メートルほどの廻り舞台があり、その中には大小4つのセリ(役者や大道具などの昇降装置)がある。構造物としては高さ22メートル、地上1階から地下6階までを貫くという。

演出によってはワイヤーによるフライングもあるし、大道具を移動させての場面転換もある。一歩間違えれば大事故につながる。殺陣(たて)も手順を間違えたら危険だ。当然、準備・稽古は周到に行う必要がある。

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