1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

エンタメ公演トラブル「金返せ」はどこまで可能か 帝劇「ジョジョ」の公演中止で気になる返金の条件

東洋経済オンライン / 2024年3月4日 7時50分

主演者の体調不良で内容が一部変更

2回目は6月の水谷千重子50周年記念公演だ。水谷千重子(友近)が主演の2部構成の公演で、第1部はお芝居ステージ「大江戸混戦物語 ニンジャーゾーン」で、第2部は歌謡ステージ「千重子オンステージ」だった。しかし、水谷が風邪ゆえか声がれとなり、かなりのハスキーボイスとなっていた。それでも第1部の芝居はほぼ通常通りに続けられた。

問題は第2部の歌謡ステージで、幕間に公演内容の一部変更があるとアナウンスされたが、実際にはまったくの別物と言ってよいほどで、水谷はほとんど歌わず、そのためバンドのメンバーはまったく舞台に現れず、急遽しつらえられた共演者とのトークショーで終わってしまったが、返金等の提示はまったくなかった(個別に苦情を言えば対応されたのかはわからない)。

最近では、2月、3月に新橋演舞場で上演中の「ヤマトタケル」で市川團子が高熱を出し、2月9日から数日間、團子は休演したが、公演自体は続けられた。この公演は中村隼人と團子の主役「ヤマトタケル」の交互出演であったが、團子が演じる予定の回は、隼人主演で演じられた。したがって、この場合も公演中止ではないので、規約上返金の対象ではなく、興行主の松竹からも返金対応の提示はなかった。

しかし、交互出演の公演は双方の役者を見比べたいということで、両方の公演チケットを入手している観客もいるし、またそうしたことを期待して興行主も交互出演としていることもあるだろう。筆者自身も双方を観劇した。その場合、観客からすれば返金や振り替えに応じてほしいと思うのは当然だ。松竹はそうした申し出をした観客には対応をしたようである。

以上のように規約上は公演の中止以外に返金はせず、返金の場合もチケットの額面だけということになっているが、興行主も客商売だ。規約(約款)上の法的責任(消費者契約法上、規約の有効性について検討の余地はある)を超えて、補償等の対応をする場合がある。こうしたトラブルにあったらはじめから諦めずに、まずは興行主、劇場側に対応を求めてもよいだろう。

細川 幸一:日本女子大学教授

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください