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生肉を「よかれと思って」子犬に与えた主人の後悔 ビーグル犬の体内で起きていた「悲しい変化」

東洋経済オンライン / 2024年3月5日 16時0分

生後4カ月で亡くなったビーグルの病理解剖。胸が痛む最期が明らかになりました(写真:Mikhail/PIXTA)

みなさんは「獣医病理医」と聞いて、どのようなイメージを持たれるでしょうか。

獣医病理医の中村進一さんが専門にしているのは、動物の体から採ってきた細胞や組織を調べて、「病(やまい)」の「理(ことわり)」を究明すること。要は「なぜ病気になったのか、どうやって死んだのか」を調べることを生業としています。

そんな中村さんの著書『死んだ動物の体の中で起こっていたこと』(ブックマン社)から、動物の生と死をめぐるエピソードを3回に渡って紹介します。

若いのに骨があちこち曲がって

生後4カ月のビーグルの病理解剖を依頼されました。大きなたれ耳が特徴的な比較的小型の猟犬で、スヌーピーのモデルとしても有名な犬種です。

【調査でみる】亡くなったペットに対して、後悔していることはありますか?

遺体を持って来られた飼い主さんは、「まだ若いのに骨があちこち曲がってたんだよね。足もひきずっていてさ。先天異常だったと思うんだけど……」と言います。

たしかに、遺体は一見して四肢の骨や背骨、肋骨などが変形して大きく曲がっています。病理解剖を進めると、関節もひどく腫れていることがわかりました。

実は、これは成長期の子犬にしばしば見られる、ある病気の典型的な所見です。骨や軟骨の成長に異常が起きて、骨が湾曲したりすぐに骨折したり関節が腫れたりする病気で、「くる病」と呼ばれます。

この病気は、骨の成長に必要なカルシウムやリンのアンバランス、ビタミンDなどの不足が原因で起こります。

カルシウムやリン、ビタミンDが不足した骨は弱くて軟らかくなり、曲がったり折れやすくなったりするのですね。骨が弱くなることに加えて、関節が腫れたり、筋肉や関節に負担がかかり、歩行障害が起きることもあります。

栄養素の偏った食事で病気に

子犬の場合、極端に栄養素の偏った食事を与えていると、しばしばくる病が起こります。

そこで、飼い主さんに毎日どんなエサを与えていたのか尋ねてみると、案の定「猟犬で丈夫なイヌだし、いつも生肉をあげていた」という答えが返ってきました。

「イヌやネコは肉食動物だから、いろいろ混ぜたエサより肉を食べさせる方がいいだろう」

「加工されたペットフードより、自然のままの生肉を食べる方がイヌやネコも幸せだろう」

そう考えて、飼っているイヌやネコに生肉を与えている飼い主さんが時々います。わざわざ手間と費用をかけて生鮮の肉を与えるわけですから、その動物の幸せを思っての行動なのでしょう。

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