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「敵に塩」は若者には難しい?"伝わらない"日本語 「新聞にもよく使われる」史実・故事由来の表現

東洋経済オンライン / 2024年3月5日 9時0分

我が国で古くから言いならわされた「敵に塩を送る」という言葉を織り込んでいます。

この言葉は、越後の上杉謙信が、宿敵・甲斐の武田信玄に塩を救援物資として送ったという逸話からきています。

海を持たない山国の甲斐で人の命に関わる塩が不足とは一大事。

敵の弱みに付け込まない謙信の振る舞いは、優れた人間性を示すと同時に、最終的にはそういう行為が巡り巡って自分たちのプラスになることもありうるという、いわばある種の教訓も込めながら伝えられてきました。

このように、有名な史実や故事が由来となっている言葉は、私たちの身の回りにたくさんありますが、年配者なら長い人生の途中で何度かは耳にして、多くの人が意味をだいたい知っているはず。

けれど、はたしてスマホの動画やゲームに夢中になっている現代の若者たちに、それらの理解がどこまで及んでいるのか……少なからず疑問です。

「敵から塩を送られる」とは、「かたじけない、身に染みてありがたい、感謝すべきこと」などと、即座に意味を把握できる若者は、実際どれくらいいるのでしょうか。

先日も「常陸牛」など、茨城県がブランド化している「常陸」の字を20~30代の約半数が読めなかったという調査が話題になりました。

おそらく、いまや我が国の喫緊の課題となっている若者たちの活字離れ(読書離れ)と連動していると思われるのですが、豊富な活字知識の蓄積がある中高年と、対照的に奥深い日本語とは遠く離れている現代の若者たち……。

世代間のコミュニケーションがスムーズにいかない一因が、こうしたところにもあるような気がしてなりません。

たかが言葉一つ、されど言葉一つ

難しい言葉なんか知らなくたって、コミュニケーションは成り立つ。

確かに若い人からはそういう声も聞こえてきそうです。

しかし、言葉一つでも、史実や故事が由来になっているものは、他の言葉とは圧倒的に重みが違います。

その言葉(言い回し)を発しただけで、歴史の知識や教養がおのずと立ち昇ってきます。

それらを知っていることが、会話の豊かな潤滑油になり、あなたの人間としての奥行きも示してくれるはずです。

たとえば、年配者も交えてスポーツ観戦などに行くことがあった場合、「応援しているのは、どっちのチーム?」と尋ねられて、「僕は『判官びいき』ですから、Aチームを」などと答えたなら、年配者からは「ほう、なかなか学のある奴だ」などと思ってもらえるかもしれません。

もしも、その人が会社の上司だったなら――、次からあなたを見る目もきっと変わるのでは。

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