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「敵に塩」は若者には難しい?"伝わらない"日本語 「新聞にもよく使われる」史実・故事由来の表現

東洋経済オンライン / 2024年3月5日 9時0分

それゆえ、若いから昔のことには関心ないとか、興味ないとか、そんなことを言うべきではないと思うのです。

日本人が代々寄り添ってきた格言などを、若い方は、もっと若い方に、順々に伝えていく……そうした使命のようなものがあるのではないでしょうか。

せめて過去の人に学ぶ貴重な言葉の習得だけでも、ふだんからできるだけ努めてほしいと願うばかりです。

具体的には、次のようなことを心がけてほしいと思います。

●日本に関する教養を広げる

本を読む。映画(時代劇や、アニメでも)を観る。演劇を観る。落語を聞く……。

いずれからも、私たちの歴史に触れ、日本文化を感じ取ることができる。知識を得て、いままで知らなかった言葉も知り、語彙が増える。

●視野を広げる

室内にこもってゲームばかりするのではなく、外に出て行動してみよう。

たとえば旅に出る……など。古い寺社を訪れたり、新しい建築物に目を見張ったり。初めての人と話をする機会もあるはず。

そうした経験が重なることで、日本語も豊かになる。

たとえの各言い回し:詳しい説明

●「赤子の手をひねるように」……まったくたやすくできるさま

●「奥歯にモノが挟まったように」……言いたいことがあれば素直に言えばいいものを、思わせぶりに言い切らないさま

●「芋を洗うような」……体と体が擦り合うほど、大勢の人々で混雑している様子

●「絵に描いた餅のように」……絵に描いた餅は食べられないことから、実際の役に立たないもののこと。また、計画などが実現する見込みがないこと。失敗して無駄な骨折りになるさま

●「腫れ物に触るような」……気難しい人などに対し、万が一、機嫌を損ねたら大変と思いながら、慎重に接するさま

古くから言い伝えられている話が由来となっている日本語も多数あります。

故事由来の言い回し

●「外堀を埋める」……目的達成の邪魔になるものを、適当な口実を設けて取り除くこと。徳川家康が口実を設けて豊臣方の大坂城の外堀を埋めさせて、やがて攻略したことから

●「いざ鎌倉」……これは大ごとだ、大事件が起きた、と身構えること。鎌倉幕府に大事が起きたなら御家人がすぐに駆けつける、という謡曲の一場面から

●「背水の陣」……一歩も退けない状況において、全力を尽くして事にあたること。中国漢の韓信が敵の趙と戦ったとき、退却すれば溺れるしかない川を背にした捨て身の布陣で勝利した故事から。決死の覚悟が兵士たちを奮い立たせた

●「ルビコン(川)をわたる」……ルビコン川はイタリアの川の名前。紀元前49年、ローマのポンペイウスとの戦いを決意したシーザーが、ルビコン川を武装して渡ることは禁じられていたにもかかわらず、この川を渡って進撃した史実から、きわめて重大な決断をするという意。日本の会社経営者が、社員にこの言葉を使って呼び掛けることも

●「さいは投げられた」……ルビコン川を渡る際、シーザーが言ったとされる言葉。「さい」は「サイコロ」。もう投げてしまったのだから、後戻りはできない。考えたり悩んだりは無用――。強い決意で断行あるのみだ、という意味で、日本社会の主に仕事関係でも、しばしば聞かれる

山口 謠司:大東文化大学文学部教授

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