1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

家族社会学者が語る「多様化する結婚のカタチ」 今や「個人化の時代」で「選び」続ける人生に

東洋経済オンライン / 2024年3月6日 18時0分

結婚をするもしないも、全て個人の選択です(写真:Fast&Slow / PIXTA)

恋愛も結婚も未婚も離婚も、今は「個人」が選ぶべき時代。選べる時代。選ばなくてはならない時代です__。

そう話すのは、「パラサイト・シングル」や「婚活」などの言葉を作り出し、家族社会学の第一人者として知られる山田昌弘・中央大学教授。

多様な結婚・家庭生活のカタチが尊重されるようになった現代はどのような時代なのか。山田教授の著書『パラサイト難婚社会』から紐解いてみましょう。

「離婚」「別居」に「卒婚」も

比較的最近出てきた概念として、「卒婚」というものがあります。

【資料で確認】50歳時点の未婚割合、男性はどんどん増えていて……

結婚生活を営み、月日が経ち、恋愛感情も関係性も薄れてきた。しかし、だからといって、「離婚」や「別居」という選択肢も違う。

表面上は「結婚」状態を維持しながらも、互いの拘束性を解消し、それぞれガールフレンドやボーイフレンドと恋愛しても構わないという形での「卒婚」です。

私の周囲でもチラホラ「卒婚」のワードが出始めていますし、人生相談ではこんなケースもありました。

その男性は奥さんが浮気をし、浮気相手と別れる気がないので、いったんは「離婚」を話し合いましたが、まだ幼い子どものことを考え「離婚」は先送りにする決断をしたそうです。

結果的に、「結婚」は解消しないものの、妻とその彼氏の交際を認め、子の成長を待つという結論に至ったそうです(読売新聞朝刊2022年8月19日付)。

もっとも両者が「卒婚」に完全同意しているならばいざ知らず、片方は悶々としながら、「自分も浮気をすればいいのか」と悩むのは少々痛々しいものがあります。

このように、「結婚」の内実は多様化してきており、夫婦(カップル・パートナー)が選べる「選択肢」が増えているのが今の時代です。言い換えれば、個々人が、極めて多様な人生の選択肢から、「自分の人生」を選び取らなくてはならなくなった時代だとも言えるのです。

大学(短大・高校)を卒業して、就職・結婚・家庭生活・定年退職・定年後の生活と、一種のベルトコンベアのような「人生」に流れていけばよかった時代から、進学も就職も結婚生活すらも多様になった時代へ。

人々は常に「選び」続けなくてはならなくなりました。待っていても「結婚」は訪れず、積極的に友人に紹介を頼んだり、婚活パーティに参加したり、結婚相談所に登録しなくてはならなくなりました。

結婚後も、「寿退社して主婦業に専念」がデフォルトでなくなった以上、「子どもを持つのか(持たないのか)」「仕事は辞めるのか(辞めないのか)」「子どもは1人なのか(複数なのか)」「結婚生活を続けるのか(離婚するのか)」など、人生の各ステージで常に「選択」が待ち構えており、自分の意思で選び取らなくてはならなくなったのです。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください