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三菱商事が「ローソンを非上場化」する真の狙い 「KFC売却」も俎上、聖域なき中西社長の事業再編

東洋経済オンライン / 2024年3月6日 7時0分

ローソンは2024年2月期に純利益500億円の見通し(前期比68%増)と業績は好調だが、市場からは資産効率の改善を要請されてきた。

今回の出資比率低下は0.1ポイントとわずかだが、ローソンは三菱商事の子会社から外れ、持ち分法適用会社となる。総資産2.2兆円のローソンが連結から外れることで三菱商事のROA(総資産利益率)も改善される。持ち分化でも50%分の利益は取り込むことができ、2025年3月期には1200億円の再評価益も計上する。

ローソンだけではない。目下、三菱商事は35%超保有している日本KFCの全株式売却も検討している。

三菱商事は、2022年に策定した中期経営戦略で「循環型成長モデル」を掲げている。「利益は出ていても、われわれのガイドラインレート(期待利回り)を超えていないものは売却していく」(野内雄三CFO)との言葉通り、日本KFCを含めあらゆる事業で期待通りの成長が見込めなければ躊躇なく俎上に載せる。

森本氏は、「資産効率の悪いローソンに手を打てるか、市場は注目していた。三菱商事の変化を認知させる象徴的な案件で、中西社長の評価は上がるだろう」と話す。

では、三菱商事がローソンの経営を手放すつもりかといえばそれはまったく違う。

「ローソンにはポテンシャルがある。それを引き出すために三菱商事に加えて、パートナーを入れることで(成長を)加速させる」

こう話すのは、4月から三菱商事でリテイル本部長に就任する鶴田紀章氏(現リテイル本部担当部長(CVS)兼コンシューマーマーケティング部長)。2020年にはローソンに出向し、2022年に復社するまで同社で執行役員マーケティング戦略本部長を務めたキーパーソンだ。

KDDIに議論を持ち掛けたのは三菱商事

公表資料によれば、2022年12月から協議に加わった別の「パートナー候補者」がいた。複数の関係者によれば、この「候補者」はENEOSホールディングスを指す。だが、2023年12月下旬に酒席でのセクハラ行為による社長の解任騒動があり、同社は協議から離脱する。

ENEOSの協議離脱から1カ月余り。一見すると、思わぬトラブルに見舞われドタバタで発表されたようにも見える三菱商事とKDDIとの「共同経営」体制だが、関係者の1人は「ENEOSが抜けても事業構想に大きなブレはなかった」と言い切る。

そもそも「サービスステーション(SS)とコンビニの併設は何度やってもうまくいったためしがない。アメリカと違い日本ではコンビニとガソリンスタンドの客層がまったく違う」(エネオスOB)と言われるように、石油元売りのコンビニ経営は失敗の山を築いてきた。「ENEOSはとくに顧客連携を望んでいた」(関係者)との指摘もあるが、協業で何を目指したのかは不明だ。

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