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三菱商事が「ローソンを非上場化」する真の狙い 「KFC売却」も俎上、聖域なき中西社長の事業再編

東洋経済オンライン / 2024年3月6日 7時0分

一方、KDDIは、2019年12月に「次世代コンビニの開発」を標榜し、ローソンに2.1%出資している。三菱商事が立ち上げ、KDDIも参画する共通ポイント「Ponta」がローソン最大の会員基盤ということもあり、両社は密接な関係を築いてきた。

2023年5月に資本関係の見直しを含む議論を持ち掛けたのは三菱商事だった。「KDDIとは2019年から足掛け5年ほどずっとローソンの企業価値向上に向けた議論をしてきた。その間に積み重ねた信頼関係の中で2023年5月、KDDIに『ローソンにコミットしよう』と思っていただけた」(鶴田氏)。

今回の発表でも両社は「リアル×デジタル×グリーン」をコンセプトとした「未来のコンビニ」を掲げる。記者会見ではローソン店舗のEC拠点化、オンライン服薬指導やスマホのサポート、共通ポイント「Ponta」経済圏の拡大やドローン技術を活かした宅配などを挙げる。

その実現時期やKDDIがTOBに5000億円を費やすリターンなど、詳細な内容が明かされるのは新しいスキームが動き出す今年9月以降となる。

ただ、「Ponta会員を含めたロイヤルカスタマー(得意客)にデジタルでリーチして、さまざまな体験をしてもらう。Ponta会員とauユーザーはつながっている。そこに積極的にコンタクトして、さらにお客さんへカスタマイズしたサービスを提供していく」(鶴田氏)という。

次期社長候補がローソンを主管

三菱商事がローソンの経営に本気なのは、TOB後の経営体制からもうかがわれる。

KDDIの高橋誠社長は「通信の分野であれば絶対に主導権を取りに行くが、小売りではあまり知見がない。ローソンの社長はいままで通り三菱商事から出す」と語っている。株主間契約でも三菱商事が社長を、KDDIが副社長を指名し、その後どうするかは5年後に「誠実に協議」とされている。当面は三菱商事主導の経営体制に変化はなさそうだ。

ローソンの社長を現在務めているのは三菱商事出身の竹増貞信氏。そして、今後、三菱商事でローソン事業を主管するのは、この4月に常務執行役員に昇格する近藤祥太氏(現執行役員)だ。近藤氏はLNG(液化天然ガス)などエネルギー事業に長く携わってきたが、4月に新設されるS.L.C.グループを率いる。

S.L.C.とはスマート・ライフ・クリエイションの略称で、小売りなどのコンシューマー事業とデジタルを掛け合わせた新グループだ。昨年12月15日に中西社長が掲げた組織改編の要となる。業界内では、早くも「近藤氏は三菱商事の次期社長候補の筆頭格。ローソンで成果をあげられるか、誰もが注目している」と目される。

外形的にはローソンとの距離を置き、資産効率悪化のリスクを切り離した三菱商事。一方、単独ではなしえなかったローソンの再成長を共同経営で実現できるか。

森本氏は、「今後、ローソンの価値向上ができなければやっぱりダメだったと烙印を押される。自分たちの責任だということを三菱商事側ははっきり認識しているだろう」と話す。

KDDIとの共同経営には、確かな結果が求められることになる。

森 創一郎:東洋経済 記者

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