相手にワンランク上の要求をする際の依頼のコツ 「相手の気持ちを巧みに利用する」頼み方がある
東洋経済オンライン / 2024年3月7日 10時30分
では、こうした人たちへ、こちらの要求水準をもう一段アップさせたい時には、どうすればよいのでしょうか。
相手のよいレッテルを明示してから、「だけど、〇〇の場合は、さすがのきみでも無理だよね?」などと、ほんの少し見くびるような質問を付け加えるのです。
「きみは仕事が速いけど、さすがに〇〇の案件だと、時間がかかるよな?」
「きみはパソコン操作の達人だけど、こういったケースの操作は難しいよね?」
「きみは料理が上手だけど、あと一品、中華風総菜を増やすのは無理かな?」
「いつものご親切には大感謝ですが、さすがにこういうのは無理でしょうか?」
こんな言い方をされると、ちょっぴり反発心が湧くでしょう。すると、「いやいや、そんなの大丈夫」とばかりに請け合ってくれるはずです。
「一貫性の原理」に背中を押されるからです。よいレッテルを貼られているので、OKしないと沽券に関わるわけです。
希望通りワンランクアップの要求が満たされたなら、大いに感激し、激賞してあげることを忘れないようにしましょう。
まとめ 「よい人物像」のレッテルを人は維持したくなる。
刺激を与えて認知を揺るがす
■ゼイガルニク効果、カラーバス効果、カクテルパーティー効果、カリギュラ効果
人の認知は、ちょっとした刺激でさまざまなバイアスが生じます。
テレビドラマを夢中で鑑賞中、誰かに中断されると物語のその後が大いに気になります。ドラマの佳境で「次回に続く」となると、次回も見逃せなくなります。
問題を解いている最中に制限時間がくると、後あとまで、その問題が気になります。どうすれば正解にたどり着けるのか、あれこれ考えてしまうのです。
突然恋人から別れを告げられると、その恋人を忘れられずに、ストーカーになるケースもあります。交際の突然の中断でプライドを傷つけられたからです。
人は達成できた事柄よりも、達成できなかった事柄の記憶が執拗に残ります。途中で挫折したり、中断させられた場合も同じです。これが「ゼイガルニク効果」です。達成できなかった事柄への執着を招きます。意向が制限されて「心理的リアクタンス(抵抗・反発)」を起こしたのです。
この「ゼイガルニク効果」は人の気をそそるのに適しています。
マーケティングでは、電子書籍を途中まで試し読みさせて、続きは有料登録しないと読ませないようにしたり、短いテレビCMで面白い動画を見せておき「続きはWebで」などと、告知して終わるテクニックでも使われています。
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