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投資からお勉強まで中国人トップが日本に熱視線 中国語で取得できるMBAのため留学した社長も

東洋経済オンライン / 2024年3月7日 7時20分

上海で厳しいロックダウンが実施された2022年からは、中国の富裕層が祖国から「潤(中国語のローマ字表記でrun、英語の「逃げる」とダブルミーニング)」して日本に渡航するトレンドが鮮明になってきた。こうした中国人は押し並べて日本経済の復活を固く信じている。

こうした人たちに取材をしていると、むしろ日本人が日本経済に悲観的すぎるのではないかと感じてくるほどだ。

最近、民間経営者が日本を拠点の1つとする動きが相次ぐ。2023年5月には、近年日本で滞在することが増えてきたアリババの創業者ジャック・マー氏が東京大学の東京カレッジで客員教授に就任した。不動産開発会社「万科」を長年率いてきた王石氏も東京でたびたび目撃されている。

2023年2月には杉杉集団を長年率いてきた鄭永剛氏が都内で亡くなったことが発表され、中国で波紋を呼んだ。同社は浙江省の寧波を拠点にアパレルから多角化した、中国有数のコングロマリットだ。

桜美林大学が日本初の中国語MBAプログラムを開設したのも、このトレンドの中にあると言える。プログラムを統括する雷海涛教授は、「対日投資の流れが中国で活発になっており、日本経済やビジネス、業界や企業文化といったコンテンツを体系的に学ぶニーズが高まっています。中国語MBAもこのような背景のもとで生まれました」と話す。雷教授は東芝の本社で長年勤務し、中国室長などを歴任した人物だ。

「明治維新以降に産業化社会に入ってからの企業や業界の変遷、日本人経営者の哲学といった内容に学生たちは強い関心を持っています。最近注目されているのは、高齢化社会対応とか、日本の家族経営の事業継承ですね。30年近くの勃興期を経て、中国の民間企業も後継者を育てたりトップが交代したりするフェーズに入っています。これらのコンテンツはもっと充実させなければならないと思っています」

これまでも民営・新興の中国企業家の間には、日本企業をビジネスパートナーとして共に中国市場やアジア市場を開拓する試みがあった。だが、「最近は日本をマーケットとして捉える動きが出てきました。これは10年前には見られませんでした」と雷教授は語る。

2024年度には在籍する学生数が20人に達する見込みだ。雷教授は「近い将来30〜40人ぐらいに増やしてもいいと思っています」と強気だ。

それも無理はない。中国では、一時期隆盛を極めたMBAコースやEMBA(経営者向けの短期コース)への締め付けが強まっているからだ。

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