「チェルシー終売」嘆き悲しむ人が多い本当の理由 突然の別れ、「メルカリで高額転売!」は悲しい
東洋経済オンライン / 2024年3月7日 18時30分
商品にともされた危険信号に気づいていれば、買い支えの余地もあっただろう。そうすれば、メルカリ等での転売も目立つことにならなかったかもしれない。さりげなくSOSを伝えるメーカーと、言われなくても察する消費者で、良好な関係性を築ければいいのだが、なかなかそうはいかない現実が見て取れる。
宣伝戦略としても、落ち目より、売れ筋や新商品をアピールしたほうが効果的。結果として、消費者は販売終了を決定事項として知り、「もっと早く教えてくれていれば、なんとかなったのでは」との後悔が残り、メーカーへの不信感へと変わることもある……というのは筆者の考えすぎかもしれないが、とはいえ、ロングセラーの販売終了は、それだけ難しいものなのだろう。
たとえば、心の準備という意味では、「一定期間後の終売」をアナウンスするのはひとつの選択肢だろうが、期間の設定を見誤ると、ネガティブな印象を残しかねない。ちょっとでも「最後にひと稼ぎしようとしているな」とか「引き留めてもらいたいだけか」などと感じさせてしまえば、むしろ企業イメージの悪化につながってしまう。たまに街中で見かける、いつまでも閉店セールが続く店のようなものだ。
また、メーカー側の事情なのに、エモく演出しすぎるのも逆効果となりかねない。明治の競合である森永製菓は、かつて「ハイチュウ」のグリーンアップル味が生産終了(アソートタイプでは継続)になると、大々的なキャンペーンを行った。人気声優を起用したウェブ動画では、入れ替わるように登場した新製品「うまイチュウ 青りんご味」との世代交代が描かれていたが、これも人によっては拒否感を示す可能性があるだろう。
であれば、どのような見せ方がベストなのか。全国規模で販売される物流面でも、SNS上で一斉拡散される情報流通の面でも、ほどよいあんばいでコントロールするのは至難の業だ。
そう考えると、今回のチェルシーのように、終売直前に公表するというのは、それなりに正攻法なのかもしれない。過去には、数カ月後になって終売が報じられた老舗菓子も存在した。「とっくに消えていた」と知らされるときの喪失感と比較すれば、アナウンスがあるだけ良心的に感じられる。
ただ、希望を言えるのであれば、「一部エリアでの販売終了」的なイベントを挟みながら、それとなく終売に近づいているサインを出してくれると、消費者のショックも和らぐのでは……と筆者は思うのだ。それだけ、明治は愛されている商品を、多く抱えている会社なのだから。
長寿商品の最後が「メルカリで高額転売」は悲しい…
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