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認知症の親を追い詰める「記憶の確認クイズ」 大切なのはいち早く「答え」を明かすこと

東洋経済オンライン / 2024年3月8日 17時0分

認知症の方への否定的な言葉は、本人にとって苦痛でしかありません。自分から行動しようという意欲を失わせたり、症状を悪化させてしまうこともあります(画像:『ボケ、のち晴れ 認知症の人とうまいこと生きるコツ』より/マンガ・中川いさみ)

認知症の家族に対して、ついやってしまいがちなのが「これわかる?」という質問。でも、これは本人の自尊心を傷つける行為なのだと、理学療法士の川畑智さんは言います。不要なクイズで試したり、頭から否定したり、思考停止してしまうような「スピーチロック」を投げかけたり……。認知症の人についやってしまいがちなNG行為とその対策法を、川畑さんの著作『ボケ、のち晴れ 認知症の人とうまいこと生きるコツ』より、一部抜粋・再編集してお届けいたします。

その「クイズ」が自尊心を失わせる

認知症の方のご家族に、「絶対にやめてください」とお願いしていることがあります。

【画像】認知症の方に「今日は何月何日か言える?」など、「記憶の確認クイズ」を出すのはやめたほうがいい

それは、「記憶の確認クイズ」を出してしまうこと。

「今日は何月何日か言える?」

「今どこにいるのか、わかる?」

「孫も連れてきたよ。名前なんだったっけ? 前も来たでしょう?」

施設に面会に来られるご家族でも、このように質問を畳みかけるケースが少なくありません。

認知症がどれだけ進んでいるのか確かめたくて、つい聞いてしまう気持ちはよくわかりますが、認知症になっても、人格やプライドは当然残っています。

試されるようなクイズは、苦痛でしかありません。

ましてや、答えられなかったら自信を失いますし、ご家族も「前より悪くなった」とショックを受けます。

お互いが、曇りを通り越して「大雨」になってしまうような質問を、あえてする必要はありませんよね。

クイズの答えを先に出すことで、安心につながる

大切なのはクイズではなく、いち早く自分から名乗って答えを明かすこと。

「○○よ」と名乗ることで、脳の記憶の部分と顔が一致し、「おお、○○か」とわかってもらえます。

場所のことが苦手ならば、「ここは〇〇だよ」と教えてあげましょう。

私たちだって、電車に乗って寝過ごすと、今どこの駅付近なのかわからなくなるときがありますよね。

そして、次の駅のアナウンスが流れると、ホッとするわけです。

これと同じで、先に情報を与えてあげることで、本人は安心します。

認知症の方に対しては、不要なクイズを出すよりも、むしろ先に答えを教えてあげるような形でコミュニケーションを進めてください。

アドバイスの失敗と、そこから見えた光

78歳の高田さんは中等度の認知症で、「いつ」がわからなくなっています。

今日の予定も忘れてしまうので、近所に暮らす息子さんのお嫁さんが、毎朝電話でその日の予定を確認してくれていました。

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