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認知症の親を追い詰める「記憶の確認クイズ」 大切なのはいち早く「答え」を明かすこと

東洋経済オンライン / 2024年3月8日 17時0分

しかし、やっぱり「記憶の確認クイズ」を出してしまいます。

「お義母さん、今日の予定わかる?」「ほら忘れてる。昨日も言ったでしょ?」

そして「今朝も義母に電話で予定を聞いたけど、まったく覚えていないのよ」と私に、なんの悪気もなく言ってくるのです。

私は、お嫁さんの頑張りを認めたうえで、「もし毎日お義母さんの家に立ち寄れるなら、明日の予定を書いて置き手紙をしませんか」と提案しました。

しかし、この提案は失敗でした。

せっかく置き手紙をしても、高田さんはその手紙をなくしてしまうといいます。

箱の中に入れたり、バッグやズボンのポケットに入れてわからなくなったり。

お嫁さんは、「もうこんなに苦労して書いても意味がない! 私だけ頑張っていて、バカみたい。家に行くのもいやになる」と言い出す雨模様。

結果的に的外れな提案となったことをお嫁さんに謝罪しながらも、このとき、解決に向けた一筋の光が差していました。

「なるほど。大切な置き手紙だから、なくさないようにしまっておかなきゃという心理か。高田さんは、本当にまじめな人なんだな」

ホワイトボード1枚で「晴れ」はつくれる

その反省から、次に、しまうことのできないホワイトボードを買って渡したら、これが大当たり!

高田さんの家の電話の横に置いてもらい、お嫁さんが毎朝、電話で伝える予定を、自分で書いてもらいます。

毎朝、昨日の予定を消して新たに書き記すわけですから、そこに書いてあることは、すなわち「今日の予定」だと高田さんにもわかります。

また、「○○さんと会う約束だったよね」「みんな待っているから行ってね」という具合に心を揺さぶるメッセージを添えてもらったのも、効果的でした。

こうして高田さんの問題は、ホワイトボード1枚で解決することができました。

高田さんは、お嫁さんの手紙をなくしたのではなく、大切にしまっていたのです。

どこにしまったか、そのこと自体は忘れてしまったのですが、お嫁さんの気持ちだけは、しっかり届いていました。

「失敗は成功の母」と言いますが、曇りのち晴れ、雨ときどき晴れのつもりでいてください。

失敗を繰り返しながらも、少しずつ解決に向かっていきます。

考えること、試してみることをやめないことですね。

認知症の人を思考停止させる「スピーチロック」

「ダメだって」

「違うって」

「無理だって」

「だからそうじゃないって!」

認知症の介護のときに、つい言ってしまうこんな言葉。

こうした否定言葉は、「否定された」「拒絶された」という負の感情が生まれて、本人の動きにロックをかけてしまうため、介護の現場では「スピーチロック」、もしくは「言葉の拘束」と呼ばれています。

喜怒哀楽のバランスは「4:1:2:3」

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