1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

ゴールデンカムイ「アシㇼパの村」はどこにあるか 北海道の小樽近辺の地形から紐解いていく

東洋経済オンライン / 2024年3月8日 15時0分

(野田サトル/集英社)

累計2700万部(2024年2月現在)を突破し、2024年1月に実写版映画も公開された「ゴールデンカムイ」。同作でアイヌ文化に興味を抱いた方も多いはずです。そんな大人気作品のアイヌ語監修者である中川 裕さんが上梓した『ゴールデンカムイ 絵から学ぶアイヌ文化』では、物語全体を振り返りつつ、アイヌ文化について徹底解説しています。本書を一部抜粋・再構成し、お届けします。

本書のコラム⑤では、小樽市総合博物館の石川館長が、当時の砂金の採掘地からアシㇼパの村がどのあたりにあったのかを推測しています。

【地図で見る】『ゴールデンカムイ』アシㇼパの村はどこにあったのか?

現地に関する相当深い知識がないとこのような考察はできないので、なるほどなるほどと感心して読んでしまいましたが、私の方はそれとは別の観点から、アシㇼパやフチたちが暮らしていた村について考えてみたいと思います。

村は深い山の中に位置している?

もとより、これは原作者である野田先生の意図を完全に無視していますので、何も真理に迫るものではありませんが、作中ではっきり言及されていないことをああでもないこうでもないと考察してみることは、ファンの特権であり醍醐味ですし、またそこに描かれているいろいろな事物の理解を深めるきっかけにもなりますので、あえて試みてみたいと思います。

5巻42話で、鶴見中尉の部隊を脱走してフチとアシㇼパの家で足の治療をしている谷垣のもとに、尾形上等兵と二階堂一等卒が姿を現します。ここから数話を使ってアシㇼパの村とその近くの山で尾形組と谷垣の攻防戦が繰り広げられますが、ここでの描写を見る限り村はけっこう深い山の中に位置しているように見えます。

一方、アシㇼパが杉元を連れて自分の村に帰って来た2巻11話では、家の後ろにかなり高いY字型のものが林立しているのが見えます。これは実は網の干し竿です。網といっても流し網漁に使うもので、二艘の舟の間にこの網を張って、魚を追い込んでいくためのものです。漁の後はこのY字型の竿の間に棒を渡して、そこに網を掛けて干しておくのですが、家の屋根と比べるとどう見ても4メートルぐらいの高さがありそうですね。

実はこの光景は、今ウポポイ(民族共生象徴空間)のある、白老という海岸近くの村の古い写真をモデルにして描かれたものです。白老川の河口付近での漁に使われるものですので、広い川幅に合わせて長い網が使われているわけですが、はっきり言って山の中の村にはふさわしくない光景です。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください