1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

ゴールデンカムイ「アシㇼパの村」はどこにあるか 北海道の小樽近辺の地形から紐解いていく

東洋経済オンライン / 2024年3月8日 15時0分

後に運上屋を今の市街地内入船町に作り、小樽内川筋のアイヌをその周辺に移した。当初のうちは、当時の習慣で旧地の名をそのまま使って小樽内場所と称していたのであるが、後に下略して小樽と呼ぶようになった」(490頁)

つまり、今の小樽という名前のもとになったオタルナイという川が、もっとずっと東の方にあって、そこの住民が今の小樽市街に移されて、「オタル」という名前の元になったという話です。そしてオタルナイというコタン自体は、1700年にはその名前が確認されているものの、もうすでになくなっているということのようです。

それならば、アシㇼパたちの村としてこのオタルナイという名前を拝借させてもらえれば、現在実在する地名ではないのでそこの人たちにも迷惑はかからず、しかも何も説明しなくても小樽の近くだということは感じられますので、ぴったりではないかと思って提案させてもらいました。このように、連載が終了してからはじめて、アシㇼパとフチ、そして杉元が暮らしているコタンの名前が決まったのです。ということで、白石から杉元に来た手紙の宛先は、オタルナイという地名になっています。

ダムでできた湖はオタルナイ湖と呼ばれていた

話はそれで終わりではありません。結局、最初に私が考えていた朝里川というのは関係なくなってしまったはずなのですが、その後であらためて地図を見ていると、例の朝里川のダムによってできた湖の名前が実はオタルナイ湖と呼ばれていることに気がつきました。

もちろんこれはダムによって人造湖ができた後につけられた名前です。しかし、かつてのオタルナイの住民の一部がここに移り住んで、もとの名前のオタルナイコタンを名乗っていたのだが、朝里ダムが1993年に竣工して湖の底に沈み、その村のことを記憶していた人たちによってオタルナイ湖と呼ばれるようになった……などと、勝手な想像をしてみてもいいと思いませんか?

中川 裕:千葉大学文学部教授

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください