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ゴールデンカムイ「アシㇼパの村」はどこにあるか 北海道の小樽近辺の地形から紐解いていく

東洋経済オンライン / 2024年3月8日 15時0分

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しかし、それでもそのように描かれている以上、それが両立するような場所を小樽に近いところで考えてみましょう。つまり、山の中でありながら川幅が4メートル以上あるような広い川が流れているところということです。

小樽近辺にはダムと川がある

とはいえ、あいにく私は小樽近辺の地形的な状況についてはあまりよく知らないので、グーグルマップを見てみると、JR小樽築港駅の東に朝里川という川が流れています。この川は比較的山奥の方から流れていて、上流には朝里川温泉があり、朝里ダムが作られています。

このあたりならば、かつて舟を二艘浮かべて流し網漁をするくらいの川幅があったかもしれません。そしてダムが作られて人造湖ができているということは、かつてここにアイヌのコタンがあったのだが、ダムによって湖の底に沈み、今はもうないという設定をすることもできるかもしれないなどと、適当なことを考えておりました。

ところが連載終了後、『週刊ヤングジャンプ』編集部から相談がありました。「コミックス最終巻の発売記念に、南の島で王様になったらしい白石から、抽選で白石の肖像入りのコインが入った手紙が届くという懸賞を行いたいと思っているのだが、その届け先をアシㇼパと杉元が暮らしているコタンにしたい。ついては『北海道小樽コタン』という宛先でよいと思うか」という相談です。

つまり、架空の住所として所番地まで書くわけにはいかないので、「小樽コタン」というおおざっぱな表記にしておいて、昔はそれで郵便が届いたのだということにしてよいかということなのですが、いくら昔でも小樽は大きな町です。そして「小樽コタン」では、やはりアシㇼパたちが小樽の町中に住んでいるように見えてしまいます。

ここに来て、アシㇼパたちの村がどこにあったのか、真面目に考えなければいけなくなってしまいました。しかし、まったく架空の地名を考えるのも、それはそれで大変なことです。そこで、アイヌ語地名というといつも頼りにしている山田秀三先生の『北海道の地名』を紐解いて「小樽市」という項目を見ると、次のように書かれていました。

「〔小樽の〕名のもとになった小樽内川は小樽郡と札幌郡(後には共に市)の境を流れていた川で、その川口は銭函の東、今は新川川口となっている処であった。そこは古く元禄郷帳(1700年)にも『おたる内』、同年蝦夷島絵図に『おたるない』と書かれた処で、当時アイヌのコタンがあって、和人もそこで漁場を開いていたものらしい。

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