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店は全壊でも被災地支援、シェフたちの「真意」 能登半島地震、シェフ仲間の「横のつながり」

東洋経済オンライン / 2024年3月8日 11時30分

能登半島地震、被災地での炊き出しには多くの料理人が駆けつけた(写真:池端隼也さん提供)

元日に起きた能登地震から2カ月が過ぎた。

【写真を見る】金沢市のフレンチレストラン「エクティル」のシェフ・川本紀男さんが作った、見た目にも美しい「炊き出し」の料理はこちら

道路や交通網は徐々に復旧し、生活再建の流れは加速している。一方、水道などインフラの復旧は能登地区でもなかなか進まず、倒壊した家屋や店舗はもちろん、建物にそれほど被害がなかった地区でも避難生活が必要な状況はあまり変わっていない。そのため、今もなお、珠洲市や輪島市などでは避難所での炊き出しや食事のサポートが続けられている。

それらのサポートを担うのは、自らも被災した料理人たちだ。

私財とスキルを提供するシェフたち

奥能登・輪島市のフランス料理店のシェフ、池端隼也さんもそのひとり。池端さんは、震災後は市内で毎日1000人分以上の炊き出し作業に従事している。

池端さんは築約100年の輪島塗の塗師の家を改装したレストラン「ラトリエ・ドゥ・ノト」を営業していた。

震災で池端さんの店は全壊。そこからかろうじて引っ張り出せた自前の食材を使っての炊き出しが震災の翌日からスタートした。現在は食材こそ各方面から潤沢に届いているというが、池端さん自身は今も、輪島市内の施設でボランティアでの炊き出しに従事している。

石川県七尾市のイタリアン「ヴィラ・デラ・パーチェ」のシェフ平田明珠さんも、震災直後から1月末まで、炊き出しをはじめとしたサポートを行っていた。場所は店から車で10分、市が避難所として開設している市立中島小学校だ。

海岸沿いの平田さんの店舗は幸いにも津波の被害をまぬがれ、建物自体にも大きな損傷はなかった。断水も2月末には解消され、営業再開に向けて動き出している。

アメリカ本部のボランティア団体も支援

料理人である彼らが、みずからも被災しているにもかかわらず、ボランティアで炊き出し業務を引き受けているのはなぜだろうか。

「あの環境で自分ができることってなんだろうと思って、僕ができることは料理なので、この町に住んでいる人間として単純に何ができるか考えた結果です」(平田さん)

彼らは自分の店の再建よりも被災者のサポートを優先し、避難所での炊き出しを選択している。しかも最初の支援物資が届く前には、自分の店に保管してあった営業用の食材を最初の炊き出しに提供してもいる。

「最初は寄せ集めですよ。食材も自分の店に正月営業用に買ってあったものを使って、あとは近くの農園さんや干物屋さんがもう売れないからと食材を提供してくれました。

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