店は全壊でも被災地支援、シェフたちの「真意」 能登半島地震、シェフ仲間の「横のつながり」
東洋経済オンライン / 2024年3月8日 11時30分
また、みずからの店舗の営業をいったんストップして、被災地に入っているシェフもいる。金沢市でフレンチレストラン「エクティル」を営むシェフの川本紀男さんだ。
被害は軽微だったが、川本さんは2月末まで2か月間店を閉めていた。現在も週に2日、金沢から珠洲へ車で往復し、炊き出しを行っている。
金沢から珠洲までは片道3時間以上を要する、サポートも困難な地域だ。だからこそ、まだサポートの手がじゅうぶんに届いていない地域が多い。
川本さんが2月18日に炊き出しに訪れた珠洲市の指定避難所である珠洲市立宝立小中学校では、約250名の避難者の食事は今もおにぎりやカップラーメンで、川本さんの野菜や魚料理の炊き出しは、避難者に喜ばれた。
川本さんが自分の店を閉めてまで炊き出しに入るようになったきっかけは、17年前、2007年3月のM6.9の能登半島地震にさかのぼる。
現在、川本さんとともに石川県内各地で炊き出しを行うのは、岩手県下閉伊郡のフレンチレストラン「ロレオール田野畑」シェフ伊藤勝康さんをはじめとする、岩手県の有志の人々だ。
川本さんと伊藤さんは当時からお互いに「災害協定」を結び、災害が起きるたびにお互いのサポートに入ってきた。2011年の東日本大震災では川本さんは岩手県でのサポートに従事し、そして今回は、伊藤さんたちが石川県内での炊き出しに入っている。
「私たちは料理人だから料理をすることしかできない。使命感だけで動いている。今回も石川県のために、悔いの残らないとこまでやろうと思っています」(川本さん)
“ポケマル”を通じた食材の無償提供
川本さんたち石川県内のシェフたちが、手弁当で被災地の炊き出しに従事するためには、物資でのサポートが欠かせない。
民間企業がすでに多くサポートに入っているなかで、大きな役割を果たしているのが、生産者と消費者をつなぐ通販サイト「ポケットマルシェ(ポケマル)」を運営する「雨風太陽」(本社・岩手県花巻市)だ。
東日本大震災をきっかけに生まれたポケマルは、これまでも2023年7月の東北・近畿・九州地方に大きな被害をもたらした豪雨で被災した生産者を支援するなどの活動を続けてきた。今回も、社長の高橋博之氏が石川県内に入り、珠洲市の被災地で炊き出しを行う料理人たちを支えている。
ポケマルが今回立ち上げた「ポケマル炊き出し支援プロジェクト」は、高橋さんたちの能登を支援するという思いに、全国の生産者が呼応したものだ。実際にポケマルを通して能登の炊き出しへの食材の無償提供を行った生産者は67名(2/22現在)にのぼる。
2月18日には、川本さんによる珠洲市立宝立小中学校での250名分の炊き出しを高橋さんが食材提供でサポートした。
「川本さんは『能登あっての金沢であり、生産地あってこその料理人であり消費者だ』という考えのもと、奥能登の復興に対しても、他人事ではなく自分事として取り組まれていると感じます。
伊藤さんも同じ考えを持っていたからこそ川本さんに呼応され、石川まで来てくれたのだと思います」(高橋さん)
2024年3月11日には東日本大震災発生から13年となる。
高橋さんは、東北の復興に際して得られた経験や知見が、今回の能登の復興の助けになるはずだという信念を持って能登のサポートに携わる。「自分にできることは何か」。そう考えた一人ひとりの思いが、能登の復興を支えている。
星野 うずら:レストランジャーナリスト
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