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トヨタ出身者が起業「Lean Mobility」の正体 i-ROADを手掛けた人物による超小型EVメーカー

東洋経済オンライン / 2024年3月8日 11時55分

他にi-ROADとの違いとしては、ドアが“左側にしかない”ことがある。右側通行の国向けも左のみとするそうで、谷中氏は「2輪車のサイドスタンドは通行の左右にかかわらず左側にある」ことを理由に挙げた。

個人的には、エアコンが装備されたことが嬉しい。暑さ寒さはもちろん、i-ROADでは雨天時に熱線入りのフロント以外の窓が曇りがちだったが、Lean3ではそのような苦労はしなくてすみそうだ。

前輪操舵への転換で変わったデザイン

デザインは、フィアロのデザインディレクター、平田滋男氏が担当。前輪操舵になったために、フェンダーをボディから独立させたi-ROADのような構造はできない中で、リーンしたときにもフェンダーとタイヤの隙間が狭く見えるよう、前輪がストロークしたときにフェンダーの中に入るよう、工夫したという。

ヘッドランプは法規的には2眼でも問題ないが、顔が平面になるので単眼としている。ボディサイドは、背が高くなったことで腰高に見えることを抑え、伸びやかで動きのある造形に。リアで目につく上部の黒いルーバーの中には、エアコンのコンデンサーが内蔵されている。

敷地内で試乗もできた。ドライビングポジションはi-ROADよりも立ち気味で、スクーターに近い。おかげで、後席にも身長170cmの筆者が楽に乗れ、ISO規格に準拠したチャイルドシートも設置できる。

ドアを左側のみとしたことは、右側にメーターやエアコンルーバー、ドライブセレクターのボタンなどが並んでいるのを見て、理解できた。ステアリングの奥には、スマートフォンを固定できるようになっている。

走り始めて最初に感じたのは、加減速や操舵など、あらゆる動きに唐突感がなくスムーズであることだ。加えて、前輪操舵になったことで、旋回感がi-ROADより格段に親しみやすくなった。

ステアリングのロックtoロックは3回転から1回転、つまり左右半回転ずつになったが、ステアバイワイヤとは思えないほど滑らかで自然だ。操舵輪の違いはあれど、車体をリーンさせながらコーナーをこなしていく爽快感は、i-ROADに限りなく近い。

不整路ではジャイロセンサーのおかげで、左右の前輪が独立してストロークして垂直を保ってくれることも確認できた。自動車の走行技術とロボティクスの姿勢制御を高度に融合させた、「RideRoid」というフレーズに納得した。

ベンチャーらしからぬ信頼感・安心感に期待

最初に販売を予定する台湾での価格は、バッテリーを含まないで20万台湾元(現在のレートで約95万円)からを考えているとのこと。現地で販売されている電動スクーターの約2倍のレベルになるという。

個性的なデザインと独創的な走りの世界、乗用車に近い快適性と2輪車に匹敵する機動性を両立していることを考えれば、日本はともかく、台湾やヨーロッパでは一定の需要が見込めるのではないか。

これまで書いてきたとおり、Lean Mobilityは会社としての体制も、クルマづくりのレベルも、良い意味でスタートアップらしからぬ信頼感や安心感を抱けるものだ。それでいてデザインやエンジニアリングは、日本発とは思えない大胆さがある。

i-ROADの快感を残しつつ完成度を引き上げた走りだけでなく、モノづくりやビジネスを含めて、絶妙なバランス感覚を備えていると思った。

森口 将之:モビリティジャーナリスト

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