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コンサルが「次に目指す」仕事"PEファンド"の正体 傾いた企業を"診断し治療する"経営再建の医者

東洋経済オンライン / 2024年3月9日 17時0分

では、その実態とはどのようなものでしょうか? 知られざるPEファンドの世界について説明していきましょう。

PEファンドの仕事をごく簡単にまとめると、以下のようになります。

「投資家から集めたファンド資金を企業に投資して、一時的に対象会社のスポンサーになり、経営改革を推進して企業価値を高め、自走できるようにする。そして、株式公開や保有株式の売却によってリターンを得て、その会社を次のスポンサーにバトンタッチする」

この役割を対個人の仕事に例えるなら、ケガをした人を診察・治療し、リハビリテーションを実施しながら日常生活へと戻していく医療機関のようなイメージです。

企業を立て直し、雇用を維持し、場合によっては新たな雇用を生み出す。企業の再生や再成長が、地域の活性化にもなり、産業の発展にもつながっていく。ひいては日本経済の成長にも貢献しています。

個人のやりがいの域を超えた、社会的意義のある仕事といえるでしょう。

この業界で働く人たちにこの仕事の特徴を聞くと、「総合格闘技」に例えられることが多いようです。

PEファンドで働くプロフェッショナルには、コンサルティングファームでのコンサルタントスキルをはじめ、投資銀行やFASでのM&Aアドバイザリースキル、総合商社での事業スキルなど、個々の専門的職種としての卓越したスキルを複数にわたって持つことが必要とされているからです。

そこでは、自分の能力を最大限に発揮し続けなければ、即敗者となってしまう、まさに真剣勝負の頂点ともいうべき熱い戦いが繰り広げられているのです。

PEファンドの仕事は、やりがいももちろんですが、大変さも普通の仕事の何倍にものぼるといわれます。しかし、それは勤務時間や仕事量といった「物量」の感覚ではなく、複雑さや成し遂げるべき「クオリティ」が何倍にもなるという感覚です。

PEファンドで働くプロフェッショナルは、株主の立場に立ち、なおかつ投資先企業の経営陣と議論しながら、トップの視点で企業価値を上げていく役割を担います。

その手段として、プロジェクトをいくつも立ち上げて、リーダーを社員から選び、その人々を通じて、すべてのプロジェクトを同時に動かしていきます。

こうした仕事は、マネジメント力や人間力をはじめとするハイレベルな技量が必要とされるため、そう簡単に実践できることではありません。

投資して間もない時期には、対象企業には「ファンドの人なんて嫌い」「話の意味がわからない」などと、露骨な態度で抵抗を見せる社員の方々がいることもあります。

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