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コンサルが「次に目指す」仕事"PEファンド"の正体 傾いた企業を"診断し治療する"経営再建の医者

東洋経済オンライン / 2024年3月9日 17時0分

投資先企業に常駐しているファンドのメンバーが議長を務めるミーティングの場で、意見を求めても沈黙して無視されるようなことが繰り返されたりもします。

そんな逆風の中でも、ファンドと対象企業が同じ方向に針路を取って頑張れるよう、PEファンドのプロフェッショナルたちは力を尽くすのです。

PEファンドの4つのテーマ・手法

PEファンドが手がける主な投資のテーマや手法には、「事業承継」「カーブアウト」「ロールアップ」「企業再生」の4つがあります。

ここでその手法と代表的な事例を簡単に紹介しましょう。

◎事業承継:コメダ珈琲店

オーナー経営者の高齢化に伴う中小企業の事業承継は、地方を含めた社会的な課題です。PEファンドが新たな経営者を招聘することにより、オーナー社長主導で動いていた会社を組織的に動ける会社として再スタートさせます。

事例としては、コメダ珈琲店がよく知られています。2008年に、アドバンテッジパートナーズが創業者から約8割の株式を購入し、当時、名古屋を中心とした東海地方に展開していた店舗を全国展開させました。

◎カーブアウト:アリナミン製薬

カーブアウトは経営を立て直すため、本業ではない事業を切り離していく投資手法です。

PEファンドは単に事業部門を別の会社に売却するのではなく、社員を新たな経営者に指名したり、あるいは必要に応じて外部から経営者を招聘したりして、その事業部門を1つの新しい会社として独立させます。

最近のカーブアウト事例としては、武田薬品工業からアリナミンの事業をスピンアウトさせ、アリナミン製薬として独立させた案件があります。これを手がけたのは、アメリカ投資ファンドのブラックストーンです。

◎ロールアップ:アロスワン

ロールアップとは、PEファンドが既存の投資先企業を通じて同業の中小企業を水平的に買収して収益力の強化を図る手法です。

その事例として注目されているのが調剤薬局です。調剤薬局には小規模店舗が多く、創業オーナーが高齢化している現状に加え、診療報酬制度の改定に伴う対応が複雑化しているため、少人数スタッフでは事業継続や人材採用などが難しい問題がありました。

ここに事業承継ニーズを見いだしたのが、アント・キャピタル・パートナーズです。大手調剤薬局の阪神調剤ホールディング(現I&H)と合弁でアロスワンという会社を作り、全国の小さな調剤薬局を買収しながら傘下の店舗数を増やしました。

これによって各事業体の間で人材が融通され、薬剤師の研修も可能となったのです。

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