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もうすぐ発表「アカデミー作品賞」候補を一挙解説 『オッペンハイマー』など、注目作がそろう

東洋経済オンライン / 2024年3月9日 13時30分

『落下の解剖学』もフランス語のセリフに英語、ドイツ語をうまく取り入れたことでドラマに深みを与えていたが、大人のラブストーリーである『パスト~』も英語と韓国語が大きなモチーフに。もちろん両作の作品のベクトルは違うが、そうした共通点も興味深い。

『アリー スター誕生』で監督としての手腕を見せつけた俳優ブラッドリー・クーパーのNetflix映画『マエストロ: その音楽と愛と』はプロデューサーにマーティン・スコセッシとスティーヴン・スピルバーグが参加するなど、強力な布陣が話題に。

20世紀の偉大な音楽家レナード・バーンスタインの人生を描き出した本作で、主演のクーパーは特殊メイクでバーンスタインに顔を似せているが、その特殊メイクを手掛けたのは『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』でアカデミー賞メイキャップ&ヘアスタイリング賞を獲得したカズ・ヒロ。彼を含む3名がメイキャップ&ヘアスタイリング賞の有力候補となっている。

アカデミー賞のゆくえを占う指標として、毎年9月に行われているカナダのトロント国際映画祭で最高賞にあたる観客賞を受賞しているかどうか、といったところもそのひとつとなる。

近年の観客賞を獲得した作品はほぼ作品賞にノミネートされており、『グリーンブック』『ノマドランド』といった作品はアカデミー賞の作品賞を獲得した。

昨年の映画祭で注目の観客賞に選ばれたのはコード・ジェファーソン監督、ジェフリー・ライト主演の映画『アメリカン・フィクション』だ。

ステレオタイプの黒人描写に背を向けてきた売れない黒人作家が、ジョークのつもりでステレオタイプの黒人描写満載の新作を匿名で発表。こんなくだらない小説なんか誰も見向きもしないさ……と思いきやそれが一躍社会現象になり、あたふたするさまをブラックジョーク満載で描き出す。

架空の作家になりきるジェフリー・ライトの芸達者ぶりもユニークで、主演男優賞ノミネートも納得の名演。皮肉を利かせながらも鮮やかな着地点を見せるクライマックスも見どころとなっており、脚色賞への期待も高い。

そして最後は『サイドウェイ』のアレクサンダー・ペイン監督とポール・ジアマッティが再タッグを果たした『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』に注目したい。また、ふたりを温かく包み込む学校の料理長メアリーを演じたダヴァイン・ジョイ・ランドルフの評判も高く、助演女優賞の有力候補の筆頭と言われている。

人と関わることが苦手で嫌われ者の教師が、クラスで浮いている生徒とクリスマス休暇を一緒に過ごすこととなり、やがて自分を見つけ出していく珠玉の物語。第81回ゴールデン・グローブ賞ではポール・ジアマッティが主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞。『オッペンハイマー』のキリアン・マーフィ、『マエストロ: その音楽と愛と』のブラッドリー・クーパーなどと並び、主演男優賞のゆくえにも注目したい。

ノミネート作品も傑作ぞろい

アカデミー賞の話題となると、どうしても受賞した作品に注目が集まりがちだが、実はノミネート作品も傑作ぞろいであり、実際に今年もすばらしい映画が集まった。

それはある意味、ハリウッドの目利きたちが推薦する“オススメ映画10選”という言い方もできる。「今度、何の映画を観ようかな」と悩んだときには、アカデミー賞のノミネート作品にも注目してみてはいかがだろうか?

壬生 智裕:映画ライター

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