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「内向型の人」が強みを生かして成果を出す働き方 アップルの成功も「内向型」の力が導いた

東洋経済オンライン / 2024年3月10日 16時0分

遊びや恋には目もくれない、風変わりなまでに純粋な精神には同じ内向型の私も魅了されました。主演のラッセル・クロウが内向的な学者になりきり、不安定な心を巧みに演じていたのも印象的です。

映画でナッシュの内向性を感じさせる象徴的なシーンがあります。ナッシュは女の子とまともに口がきけないほど社交下手で、合コンでもどうすれば意中の女性に好かれるかを数式で計算するような人物として描かれています。

しかし、ルームメイトのチャールズとだけは気が合いました。チャールズはナッシュと正反対の明るい性格でしたが、彼の唯一の友で理解者でした。

チャールズの助けもあって、ナッシュは行き詰まっていた論文に活路を見いだします。その論文が教授に認められ、志望していた研究所にも就職できます。映画のネタばれにもなりますが、実はこのルームメイトはナッシュが自分の中につくりあげた「他人」です。「自分はこうありたい」という他者を自分の中につくりあげて、対話することで彼はつらい状況を生きることができたのです。

ナッシュは孤独の中で自分の内面をのぞき続けることで、独創性を発揮し、数学的な難題を次々に解決していきます。そして、ノーベル賞も受賞します。

彼の生きざまは、内向的な人に勇気を与えてくれます。人の幸せは、天才であっても凡人であっても「自分らしさ」にあることを、『ビューティフル・マインド』は物語っています。

アップルの成功を導いた「魅力あふれる内向型」

アメリカのアップルには「2人のスティーブ」がいました。1人は誰もが思い浮かぶスティーブ・ジョブズです。もう1人はアップルの土台となった最初のパソコンをつくったスティーブ・ウォズニアックです。高校の先輩と後輩だった2人のスティーブが、それぞれ500ドルを投資してアップルを創業しました。アメリカでは、このウォズニアックは内向型で有名です。

この2人はともに学生時代から電子工学に夢中になっていましたが、性格は正反対でした。

昔の従業員やアップルファンの人たちは今でも「アップルといえばウォズニアック」と断言します。現在のアップルの企業文化やビジョンを発展させたのはジョブズですが、アップルの技術をつくったのはウォズニアックだからです。

実際、アップルで「つくる」役割を果たしたのは内向的なウォズニアックでした。つくるのはいつもウォズニアックの使命で、それを商品化したのがジョブズでした。30個のチップだけで構成されたアップルコンピュータIや歴史を変えたアップルⅡは、いずれもウォズニアックの発案です。

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