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「内向型の人」が強みを生かして成果を出す働き方 アップルの成功も「内向型」の力が導いた

東洋経済オンライン / 2024年3月10日 16時0分

2人の関係を示すエピソードがあります。ジョブズがアップルの創業前にエンジニアとして働いていたころ、1人用のビデオゲームの作成でウォズニアックに助けを求めます。

ウォズニアックは「何カ月もかかる」と抵抗しましたが、ジョブズは彼をじっと見つめ、「4日でできるはずだ」ときっぱり告げます。ウォズニアックは「不可能だ」と思いながらも、結局は言われるままに完成させます。

ジョブズは報酬として数千ドルを受け取りますが、報酬は700ドルだと嘘をつき、その半分だけウォズニアックに与えます。初期のアップルがどのようにして会社を大きくしていったかを物語るエピソードといえるでしょう。

しかし、ウォズニアックにとって金は重要ではありませんでした。彼は後年「報酬が25セントでもやっていたよ。面白かったから」と笑いながら振り返っています。

技術者だった父親から、3歳のときに電子学の原理を教わったウォズニアックには、何かをつくる目的はお金ではありませんでした。「世界をより便利に、より住みやすくする」が使命でした。

彼は「自分の知る限り発明家やエンジニアという人種はとても自分と似ている。最高の発明をする人間は、アーティストでもあり、真価を発揮できるのはひとりで仕事をするときだ」と語っています。

そして、アップルの歴史をたどれば、流行に流されず、自分の好きなことをひとりで追求することで独創性を発揮したことを彼は証明しています。

アップルは株式上場し、2人のスティーブは億万長者となります。そこで2人の運命は分かれます。ジョブズは経営者として権力ゲームに夢中になり、一度は自分で創業した会社を追われます。

ウォズニアックは自分の分の株式をアップル職員たちに、1株当たり5ドルというただ同然の価格で、1人当たり2000株ずつ譲渡する「ウォズ・プラン」を実行します。最低賃金だけを受け取りながら社内で発明に関わり、1985年にはアップルから離れます。ベンチャー事業を営むかたわら、自分の子どもが通う小学校の教師としても働き始めます。どこまでも彼は自分の心の声に従い、好きなことを追い求め続けます。

ウォズニアックと一緒に働くことは多くの学びがあるため「ウォズニアック大学」とも呼ばれました。ウォズニアックが人間的な魅力ではジョブズをしのぎ、アップルの発展の礎を築けたのは、好きなことに没頭する純粋な精神性とそれがもたらす独創性が大きく影響しているのです。

トレンドに流されず、「自分の内面」を重視する

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