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「大谷翔平も使う計測機」を扱う開発者たちの正体 ミズノが実現した「野球データの民主化」

東洋経済オンライン / 2024年3月10日 7時40分

篠原氏は、待ってましたとばかりに言った。

「実は会社で特許をとったのですが、バッグのショルダーベルトの真ん中にスリットを入れました。『スプリットストラップ』というこのスリットを入れたことで負荷が分散され、背負ったときにあまり重さを感じなくなるんですよ。10トントラックのタイヤが4つではなくて横に2個ずつ8個ついているのと同じような原理です。このスリットが入っていれば、ミズノだと思ってください」

今の高校野球のバックパックは、学校名のほかに一人ひとりの選手名も刺繍されている。

「野球のバッグの選手名が入る部分は、1つのパーツになっていて、学校でバッグを購入すると、名前を入れる部分だけを取り外して、刺繍に回します」

プロ野球の場合、さらに細かな意見をもらう。

「プロの選手からの意見で一番驚いたのは、帽子ですね。バッグに帽子も入れるんですが、帽子の型が崩れないようにしてほしいと」

今のプロ野球には、つばが真っ平らなキャップを被る選手がかなりいるが、そういう選手はつばが曲がったり、型が崩れるのを嫌がるのだ。

「そうならないようにバッグの中に帽子のスペースを設けたバッグも作りました。またグローブを型崩れせずに収納したいという選手もいる。そういう選手のために上のほうにスペースを作ったりもしました。

そういう機能を付加したうえで、どう見えるかも考えないといけない、そして基本的なことですが、野球チームバッグは自立することが大切な機能になります」

まさに、野球のバッグは「機能の塊」なのだ。

ちなみに、メジャーリーガーはキャリーバッグで用具を運ぶことが多い。また用具の収納についての考え方も異なっている。こうした機能性へのこだわりも、日本野球ならではだ。

選手からニーズをすくいあげる

篠原氏などミズノのスタッフは、プロやアマの選手に細かくヒアリングをしたり、意見交換会などを通じてニーズをすくいあげている。

さらに、こうしたさまざまな「バッグへのこだわり」は、他のスポーツ用のバッグやビジネスバッグにも応用されている。

ミズノは、スポーツ用品メーカーから、人々の「スポーツライフ」に寄り添う企業へと変貌しているのだ。

社会の成熟、情報化によって、それが生き残りの大きなカギになっているのだと実感した。

広尾 晃:ライター

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