「27浪で遂に掴んだ慶應合格」45歳新入生の挑戦 合格を掴んだこの1年の奮闘、今後の夢も聞く
東洋経済オンライン / 2024年3月10日 7時0分
そんな彼が大学受験の想いを再び取り戻したのは、2018年にAbemaTVで放映された大学受験番組「ドラゴン堀江」がきっかけでした。
「やっぱり自分にとって、学歴への想いは払拭されていない。よく世間では就職で逆転だとか、資格で逆転だとか言うけれど、私にとって大学は就職予備校ではないし、学歴は学歴、職歴は職歴と考えている。ほかのもので埋めるなんて到底できないことだ」
この番組を見た彼は、あらためてこう認識したそうです。
とはいえ、「30代になると、参加賞のように毎年大学院入試を受けるだけで過ごしてしまった」と語るえぐざまさんは、何から手をつければいいのかも、わからなくなってしまいました。
教育の地域格差を学ぶため、本命は東京大学か京都大学の大学院。ただし、学部入試も並行して受けることに決めました。もし学部入試で早稲田か慶應に合格したら、そのまま進学し、卒業後に再び大学院にチャレンジすることも考えていました。
受験への想いを強くする一方で、どうしたものかと悩んだまま2020年を迎え、世の中では新型コロナウイルスが蔓延するようになります。前途が暗い世の中になりましたが、彼にとってはこの自粛期間が勉強で覚醒するきっかけになったようです。
感染症の拡大期に突入してから、彼は「とにかく自粛ムードで、外出することもはばかられる風潮があった世の中だったからこそ、今自分にできることはないかとじっくりと再考し始めた」と言います。
えぐざまさんの致命的な弱点は、教育環境が整っていない地域、家庭で育ったため「継続した勉強ができないこと、学習習慣がないこと」にありました。読書家で国語力が高く、短期的な記憶力などに優れていたものの、それだけで大学入試を乗り越えられるまでにはなかなか至らなかったようです。
しかし、自粛ムードの世の中が「受験」と向かい合う機会となった彼は、その特性をどうにかして生かそうと考え、いくつもの作戦を編み出したのです。
まずはアメリカの心理学者・スキナーが提唱した「プログラム学習の5原則」のひとつである「スモールステップ」の思考法です。
「大きな目標をあえて掲げず、小さな目標の積み重ねが結果として大きな目標の達成につながる」というこの考え方は、彼自身も塾講師をしていた大学時代に学生や後輩などにアドバイスするときに口癖のように伝えていたそうですが、それを思い返して、自分自身も実践するようになります。
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