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女流歌人をイジる「藤原道長」への"痛快な反撃" 子供の様な行為にぎゃふんと言わせた和泉式部

東洋経済オンライン / 2024年3月10日 7時30分

恋愛に奔放だった和泉式部を、藤原道長がイジったこともあった。ある人が扇を持っているのを見て、道長が「誰の扇だ?」と問うと、「あの女のです」と和泉式部からもらったものだと話した。

すると、道長はその扇をとりあげて、「浮気な女の扇」(「浮かれ女の扇」)とイタズラ書きをしたのだという。道長もまた小学生レベルのしょうもないことをしたものだが、それを知って和泉式部は、こんな歌を詠んでいる。

「こえもせむ こさずもあらむ 逢坂の 関もりならぬ 人なとがめそ」

現代語訳すれば「男と女の逢瀬の関を越える者もいれば、越えない者だっている。恋の道は人それぞれなのに、何の関係もないあなたにとがめられる覚えはありません」。

痛快な和歌で、道長をぎゃふんと言わせた和泉式部。多くの男性たちが和泉式部に魅了された理由もわかる気がする。

紫式部が「本格派」と認める赤染衛門

紫式部が和泉式部の和歌を高く評価しながらも、こんな辛口をいちいち挟んでいることは、前回の記事で書いた(過去記事「辛口な紫式部が歌を絶賛」恋に生きたある女性」参照)。

「本物の歌人といふうではないですが」

(まことの歌よみざまにこそ侍らざめれ)」

「<恥づかしげの歌よみや>とはおぼえ侍らず」

(<頭の下がるような歌人だわ>とまでは私は思いません)

では、そんな紫式部にとって「頭が下がる」ような歌人は誰なのか。それは大隅守・赤染時用の娘で、「中古三十六歌仙」の一人とされる赤染衛門(あかぞめえもん)だ。

「中古三十六歌仙」とは、藤原範兼が『後六々撰』に選び載せた和歌の名人36人のこと。藤原公任が選んだ「三十六歌仙」には入っていないものの、秀でた者、あるいは、後世の歌人で構成されている。

その後、鎌倉中期に成立した『女房三十六人歌合』の「女房三十六歌仙」にも選ばれているから、その実力は誰もが認めるところだったのだろう。

紫式部も「まことにゆへゆへしく」、つまり「まことにいかにも本格派」と赤染衛門を評価。「歌よみとて、よろづのことにつけて、よみ散らさねど」とあり、「歌人だからといってどんな場面でも読み散らすことはないが」としながら、こう続けている。

「知られている歌はどれも、ちょっとした折に詠まれたもので、それこそ<頭が下がる>ほどの詠みぶりである」

(「聞こえたるかぎりは、はかなき折節のことも、それこそ恥づかしき口つきにはべれ」)

清少納言のことは激しく批判し、和泉式部については理論に乏しいものの天性の才能を評価した紫式部。一方で、赤染衛門のことは手放しで評価していることが伝わってくる。

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