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女流歌人をイジる「藤原道長」への"痛快な反撃" 子供の様な行為にぎゃふんと言わせた和泉式部

東洋経済オンライン / 2024年3月10日 7時30分

また、私生活の面においても「けしからぬ」和泉式部とは違い、赤染衛門は夫の匡衡と夫婦仲がよかったことも、紫式部はほほえましく感じていたようだ。

「丹波の守の奥様のことを、中宮様や殿の周囲では<匡衡衛門> なんてあだ名で呼んでいるんですよ」

夫の匡衡とあまりに仲良しなので、彰子や道長らが赤染衛門のことを「匡衡衛門(まさひらえいもん)」とあだ名で呼んでいた……そんなエピソードも紫式部は書き記している。

和歌に対する姿勢はすばらしく、プライベートも夫婦ラブラブで何より……。それくらいでこのテーマについては終わっておけばよいものの、紫式部は赤染衛門のことをさらに褒めるために、わざわざ世間を見下してから、赤染衛門の項目を締めくくっている。

「(赤染衛門ほどの実力もない人が)ややもすれば、上句と下句が繋がらないような腰折れ歌どころか、腰が離れてしまっているような歌を詠んでても、何とも言えない風流を気取った態度で「自分は賢い」と思っている人は、憎らしいと同時に、その身の程しらずな様にかわいそうにとさえ思います」

(ややもせば、腰はなれぬばかり折れかかりたる歌を詠み出で、えも言はぬよしばみごとしても、われかしこに思ひたる人、憎くもいとほしくもおぼえはべるわざなり)

清少納言の悪口へと続く

誰とも言わずに、ここまでこき下ろせるのもすごい。それだけ紫式部は和歌を大切に考えていたということだろう。

ちなみに、『紫式部日記』では、このあとに続くのが、有名な清少納言の悪口である。何か連想されるものがあったのだろうか……。

(つづく)

【参考文献】
山本利達校注『新潮日本古典集成〈新装版〉 紫式部日記 紫式部集』(新潮社)
倉本一宏編『現代語訳 小右記』(吉川弘文館)
笠原英彦『歴代天皇総覧 増補版 皇位はどう継承されたか』 (中公新書)
今井源衝『紫式部』(吉川弘文館)
倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社現代新書)
倉本一宏『敗者たちの平安王朝 皇位継承の闇』 (角川ソフィア文庫)
関幸彦『藤原道長と紫式部 「貴族道」と「女房」の平安王朝』 (朝日新書)
鈴木敏弘「摂関政治成立期の国家政策 : 花山天皇期の政権構造」(法政史学 50号)
真山知幸『偉人名言迷言事典』(笠間書院)

真山 知幸:著述家

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