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『相棒』ただの刑事ドラマを超えた円熟の魅力 杉下右京の「やさしさ」と登場人物の「その後」

東洋経済オンライン / 2024年3月12日 13時30分

この回は、season1の第3話で罪を犯して捕まった落語家(小宮孝泰)が再登場した。刑に服し終え、落語家として再起を図ろうとする彼は運悪く事件に巻き込まれるが、紆余曲折の末に高座に復帰する。

その姿を客席から見つめる右京と薫。そして右京がこう言う。「犯した罪にのみ込まれてしまう者もいれば、再び立ち上がれる者もいる」。この言葉は、甲斐享への励ましとも思えた。

また第14話「亀裂」では、右京が犯人に向かって「真の愛情とは、手放すことではないですか?」と語りかける。これもまた、享に対する右京の複雑な思いを物語る言葉のように受け取れる。

そして同時に、途中で海外ボランティアに身を投じ、特命係から離れた亀山薫についてのことでもあるだろう。そして薫は、再び右京の元に戻ってきた。甲斐享は果たしてどうなるのだろうか?

キャラクターの宝庫としての『相棒』

2000年にスタートした『相棒』は、このseason22で24年目を迎えた。かつてに比べ簡単には視聴率を取れなくなった時代だが、『相棒』はいまだに世帯視聴率2ケタをキープする稀有なドラマだ。21世紀を代表する作品のひとつであることは間違いない。

その人気の理由は、やはりまずは刑事ドラマとしての安定感だろう。

本格推理あり社会派あり、しみじみと感動する話ありコミカルな話あり、さらには先週からの続編である今日の最終回のように政界が絡んだスケールの大きな話もありといった多彩な事件に右京と薫ら相棒が敢然と立ち向かう。そのスリルとサスペンス、明かされる意外な真実が視聴者を惹きつける要因だ。

だが長年人気を保ってきた理由はそれだけではない。『相棒』には群像劇としての際立った面白さがある。これほどキャラクターの宝庫と言うにふさわしいドラマは、ほかにあまり思い当たらない。

一方には、『相棒』が警察の内情を描く「警察ドラマ」でもあることから登場する警察関係者たちがいる。

一昔前の刑事ドラマだと、たとえば捜査一課が舞台ならそこに所属する刑事くらいしか出てこなかったが、『相棒』では警視庁の幹部、さらには警察庁の人間なども多数登場する。

すでに劇中で亡くなってしまったが、岸部一徳演じる「小野田官房長」こと小野田公顕などは、いまでもファンのあいだで根強い人気を誇る。ほかにも石坂浩二演じる甲斐峯秋、仲間由紀恵演じる社美彌子、杉本哲太演じる衣笠藤治、神保悟志演じる大河内春樹などがいる。

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