資生堂「1500人早期退職」へ追い込んだ2つの元凶 藤原社長が掲げた「4つの条件」に困惑する社員も
東洋経済オンライン / 2024年3月12日 7時0分
2024年度の訪日外国人数は回復傾向にあるものの、消費行動の変化で中国人1人当たりの化粧品購入単価は低下している。さらに中国現地での安売り競争に巻き込まれた影響で、資生堂が手掛ける高価格帯のブランドイメージが毀損している懸念もある。
「TSUBAKI」「uno」売却も響く
2つ目は、パーソナルケア事業(日用品事業)の売却だ。2021年7月に資生堂は、長らく業績を底支えしてきたヘアケア「TSUBAKI」やメンズ化粧品「uno」といった有名ブランドを、投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズに1600億円で売却した。
魚谷雅彦社長(当時、現会長)CEO(最高経営責任者)が掲げる構造改革のもとで中・高価格帯のスキンケアなどを中心とした体制に舵を切ったためだ。
売却先のファイントゥデイによると「2022年度の売上高は1000億円超、営業利益率は10%を超えている」という。資生堂の日本事業は、人件費やオフィス関連経費などの固定費が重く、中・高価格帯の化粧品だけでは限界利益をカバーできず、赤字に転落してしまったというわけだ。
屋台骨である日本事業の立て直しは急務。藤原社長は昨年9月以降、資生堂ジャパンの会長を兼任して改革を進めてきた。「今、変わらなければ日本事業としての存在意義すら危ぶまれる。改革のレベルを考え、自分でやるべきだと判断した」(藤原社長)。
資生堂は今2024年12月期に270億円の構造改革費用を計上する見込みだが、そのうち早期退職にかかる特別加算金が190億円と約7割を占める。固定費の削減に向けて、すでに各地の営業所数は縮小済み。一部直営店も見直しを進めている。
一連の改革を経て、2025年度にかけて250億円の収益改善効果を見込む。2025年度の日本事業のコア営業利益500億円へ、大胆なV字回復を目指す。
国内ECの拡大を掲げるが
営業所の数は減ったものの、化粧品専門店とGMSの販路では「エリアごとに人が集まる場所を考え、勝つべきところで勝つ」(藤原社長)。
その上で「(美容スタッフの)抜本的なリストラは考えていない。店舗人材の接客時間を最大化できるよう、配置を見直すなどで固定費を削減する」と説明する。さらに国内EC(ネット通販)の売上比率を、現状の10%台前半から30%へ拡大する目標も掲げる。
人事面では、日本事業の社長CEOだった直川紀夫氏が、2024年3月の株主総会に向けた取締役候補から外れた。直川氏は魚谷会長の後任として2020年から日本事業トップを担当してきたが、2024年1月以降は藤原社長が日本事業の社長CEOも兼任している。
この記事に関連するニュース
-
帝人が虎の子「めちゃコミ」売却に至った切迫事情 「潤沢に資金を使えるわけではない」と社長
東洋経済オンライン / 2024年6月24日 8時40分
-
株式会社ダイドーリミテッド、株式会社ストラテジックキャピタルの主張に対する見解を表明
PR TIMES / 2024年6月14日 22時40分
-
「早期・希望退職」募集が続出する2つの理由…3年ぶり1万人超えへ
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月11日 9時26分
-
大河原克行のNewsInsight 第295回 中期経営計画を下方修正した三菱電機、事業成長へ投資分野を見極める内訳
マイナビニュース / 2024年6月10日 16時59分
-
ケンコーマヨネーズ 売上高、35年に1250億円目指す 中長期経営計画を発表
食品新聞 / 2024年6月7日 18時5分
ランキング
-
1FRBの利下げ開始「9月」の見方強まる…6月の米雇用統計、人手不足の緩和傾向で
読売新聞 / 2024年7月6日 22時30分
-
2日本の中古車相場が「ロシア」の影響で下落!? 厳しい「輸出規制」のなかで「売れている」クルマも? 意外な“ロシア行き日本車”とは
くるまのニュース / 2024年7月6日 12時10分
-
3ラーメン業界の革命児「一蘭」幹部に聞く 最高益をたたき出した「3つの要因」
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月6日 11時25分
-
4株高なのに円安の恩恵が広がらないのはなぜか 岸田政権の大きな政策ミスを教訓にできるか
東洋経済オンライン / 2024年7月6日 9時0分
-
5「楽天ブラックカード」これまで招待のみだったが、申込受付を開始 特典は?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月5日 13時7分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください