「100年人生」提唱者が日本の若者に伝えたいこと 新社会人も知っておきたい動と静のメリハリ
東洋経済オンライン / 2024年3月13日 10時0分
注意しなければならないのは、友情や愛情を人から機械に移行しないようにすることです。機械はあなたの友達のふりをすることもできるし、愛しているふりをすることもできます。でもそれは、単にプログラミングによってそのように訓練されているだけ。話を聞き、共感し合える友人がいるかどうかは、精神的な健康に大いに影響を及ぼします。
一方、変身資産については、良好な機械とのパートナーシップが、あなたの変身を助ける可能性があります。人間と機械の協業は、互いを補完し合い、パフォーマンスの向上が期待できる。いずれにしても人間だからこそ、これら3つの無形資産を培い、発展させていくことができるのです。
考えることの大切さに気づく
日本では『16歳からのライフ・シフト』が出版されました。若い世代をターゲットにした本書がどのように受け止められるか、非常に興味があります。
若い世代にとって、もしかしたらライフ・シフトの概念は複雑に感じるかもしれません。でも彼らが自分の人生を生き始めるとき、1つの考え方のモデルになるのではないかと思います。
16歳前後というのは、自分の人生について少しずつ考え始める時期です。また、これから自分の子供がどのような道を歩んでいくのか、少なからず不安に感じている親もいるのではないでしょうか。
私たちがそうであったように、子供たちもまた、まずは親の世代をモデルにして将来を考えるのではないかと思います。多少変化はあるかもしれないけれど、おそらく親と同じような人生を歩むのだろうと、漠然としたイメージを持っています。
ただ実際には、生成AIをはじめとして、世界中でさまざまなことが変わってきています。たとえばアメリカの労働市場を見ていると、今は30%の人がフリーランスで働いています。バンク・オブ・アメリカのような伝統的な企業でさえも、サバティカル休暇など、柔軟な休暇取得ができるようになりました。
今後は企業制度のみならず、教育制度も変わっていくでしょう。新しい選択肢が増えると同時に、今まであったはずの選択肢がなくなることもあります。それらは十分に想像しきれません。
そんな中で私たち親や祖父母の世代ができることといえば、「教育」「仕事」「引退」という従来の3ステージの生き方はもう有効ではないと、子供が気づくのを助けることだけです。それはつまり「考え方を教える」ということです。
10代のうちから自分の人生とじっくり向き合うことは難しい。私がそうであったように、友達と一緒におしゃべりするほうが楽しいですから。でも今の若い世代は、最初から3ステージではない人生を生きていく最初の世代です。考える癖や習慣をつけることによる日々の小さな気づきや変化が、やがて新しい道を開くと思います。
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