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感情表現で交渉や面接の結果を有益に変える方法 人間の話し合いは理性以外の要素も大きい

東洋経済オンライン / 2024年3月14日 10時30分

現実世界における採用面接において、観察力の高い採用面接官にあたった応募者は、言動から適切に考えや想いを捉えてもらうことができ、お互いの利害を慎重に加味してもらえるのです。

具体的に見てみましょう。次の画像は、私が行った採用面接実験の一コマです。リクルーター側から希望勤務開始日を提示されたときの応募者の表情です。応募者はどんな表情をしているでしょうか。

相手の不安定な感情に気づけるか?

下唇を噛んでいます。これはマニピュレーターといい、何らかの感情がざわつくときの表情です。どんな感情かは特定できないものの、感情が生じ、波打っている。感情が安定していない。この表情に気づくことができれば、応募者が言葉では「わかりました」と納得していても、「言うに言えない思いがあるのかも」と推測することができます。

実はこの実験において、勤務開始日の条件は、応募者の希望とリクルーターの希望が相反するようにデザインされていました。この違いが、応募者の表情に表れていたことになります。

AIがますます発展する世界において、人間の理性の働きの多くは、AIが肩代わりしてくれるようになるでしょう。しかし、交渉に人間が臨む以上、そこには感情が介在します。自身の表情や交渉相手の表情を加味することで、相手の感情が変わり、交渉結果がAIによる予測とは異なるものになるかもしれません。交渉結果に影響を及ぼす理性と感情の関係に今後も注目です。

参考文献
Elfenbein, H. A., Foo, M. D., White, J., Tan, H. H., & Aik, V. C. (2007). Reading your counterpart: The benefit of emotion recognition accuracy for effectiveness in negotiation. Journal of Nonverbal Behavior, 31(4), 205–223. https://doi.org/10.1007/s10919-007-0033-7
Schlegel, K., Mehu, M., van Peer, J. M., & Scherer, K. R. (2018). Sense and sensibility: The role of cognitive and emotional intelligence in negotiation. Journal of Research in Personality, 74, 6–15. https://doi.org/10.1016/j.jrp.2017.12.003
Sharma, S., Elfenbein, H.A., Sinha, R., & Bottom, W.P. (2020). The Effects of Emotional Expressions in Negotiation: A Meta-Analysis and Future Directions for Research. Human Performance, 33, 331 - 353.

清水 建二:株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役

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