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不正続発の大手損保は"ウミ"を出し切ったのか ビッグモーター、カルテル問題で処分も残る闇

東洋経済オンライン / 2024年3月14日 20時0分

また、不正請求をめぐる主な舞台となった保険金サービス企画部を当時統括しており、現在はロードサービスなどを手掛けるプライムアシスタンスの社長を務めている大倉岳氏は、そのまま社長職を継続するという。

ビッグモーターによる不正事案は、保険会社として不正請求の片棒を担ぐかのような重大な事態を招き、16年ぶりに金融庁から行政処分を受けただけでなく、最悪の場合は会社への背任といった刑事責任まで問われかねないものだ。

それにもかかわらず、事実上の引責で退任した役員を、グループ会社の役員として残すことが、SOMPO流の厳しい処分ということなのだろうか。

処分の緩さに対する現場の怒りの声は、SOMPOの櫻田謙悟会長兼グループCEOをはじめとした首脳陣にも向けられている。

報酬減額は「6カ月」と公表したが実は「1カ月」

公表資料では、櫻田氏と損保ジャパンの西澤敬二会長は、6カ月にわたり月例報酬の50%を減額するとしているものの、驚くことに実際には1カ月だけの減額にとどまっていた。

そのワケについてSOMPOは、櫻田、西澤両氏が3月末に退任し、4月以降は減額する報酬自体がないからだと説明していた。

また、入庫再開を決めた非公式会議の出席者である損保ジャパンの飯豊聡・前副社長は、役員報酬の減額処分はない。それよりも重い「退任処分」を受けているためというが、退任によって白川氏のようにSOMPOグループから完全に離れるわけではない。4月にコールセンター事業などを担うSOMPOコミュニケーションズの会長に就くのだ。

「ふざけるなと叫びたいくらいだ」とOBは憤慨

であれば、甘い処分とならないように、3人ともに報酬の一部を自主返上させる手もあったはずだ。ただ櫻田氏らからは返上の申し出はなく、SOMPOの報酬委員会も返上を求めることはしていなかった。

対外的にはそうした事実を伏せて、報酬半減は6カ月にも及ぶと見せかけていたともいえる。「ふざけるなと叫びたいくらい。うちの悪い部分がそのまま出た印象だ」と、損保ジャパンの役員OBの1人は憤慨する。

東洋経済編集部では3月以降、櫻田氏らに対する実質的な処分内容があまりに不適切ではないかとして、SOMPO側に複数回にわたって問い合わせをしていた。

すると3月14日、SOMPOはそれまでの方針を転換。「社内外からのご理解を得るため」として、櫻田、西澤両氏については、実質的に6カ月間の報酬半減となるように報酬委員会で急きょ決定したという。

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