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加速主義が生み出す「頭でっかちな認知エリート」 ナショナリズムがインテリたちに不人気な理由

東洋経済オンライン / 2024年3月15日 10時0分

社会のバランスがやはり崩れ始めていると思います。認知的エリートだけでやっていければ、それでもいいのかもしれませんが、そういう人は社会の多数派ではありません。彼らの存在自体が、いろいろなそれ以外の人々、例えば農業などに支えられています。認知的エリートだけが強くなってしまった社会はかなりバランスが悪く、もろい感じがします。

施:ある元県知事のような話も、最近は多いですよね。九州でも災害でローカル線が寸断されると、「もう復旧するのはやめよう」というのが普通になってきています。

古川:北海道は完全にそうですよ。むしろ本当はずっと廃線にしたいと思っていたところに、都合よく災害が起こってくれたから、これ幸いと放置している感じがしますね。

施:ですよね。水道民営化でも今後はおそらくそうなるでしょう。水道管が破裂したら、「もう水道管直すのやめようぜ。田舎は捨ててコンパクトシティにしようぜ」みたいな感じで。

人間が頭でっかちになってしまったのと同じで、社会も、大都市だけがある程度栄えて、それ以外は荒野が漠々と広がる、みたいな感じになりそうですね。

迅速化のあげくオカルトに走る「覚醒存在」

中野:認知エリートって、本当に問題だらけだと思うんですよ。まず、彼らって頭がいいと思いがちだけど、実はそうでもないんです。

なぜなら、彼らはデジタルの0と1で処理速度を上げたがるんですけど、それって結局、複雑なことを考えずに、単純化して考えるほうが速いってこと。だから、官僚主義的になっちゃうんですよ。マックス・ウェーバーが言ったように、官僚制は問題を型にはめて処理するわけですから、事務処理スピードは迅速ですが、結局は定型的な思考になって、複雑な議論からは逃げてしまう。だから、頭は大きいけど、中身は空っぽ、ってことになるんです。

もう一つの問題は、認知エリートというのは、シュペングラーの用語で言えば「覚醒存在」と言って、頭でっかちでバランスが悪い。農業などをやって地に足がついている「現存在」とは違う。だから、シュペングラーによると、「覚醒存在」は、そのバランスを取るために、格闘技などのスポーツに夢中になるらしいです。シリコンバレーの連中みたいに、オカルトやオーガニック、民間療法にハマる傾向もあるが、それも同じことかもしれない。なんか、認知エリートの世界だけでは満足できなくて、超合理主義から一転、超自然的なものに走るんですよ(笑)。

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