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投資初心者が知らない「投資と投機」の決定的な差 今から投資しても間に合うのかを考える

東洋経済オンライン / 2024年3月15日 15時0分

今から10年近く前になりますが、2014年8月に経済産業省から「持続的成長への競争力とインセンティブ」と題する報告書が発表されました。プロジェクトの座長が、現在、一橋大学の名誉教授となっている伊藤邦雄氏だったことから、報告書は通称“伊藤レポート”と呼ばれています。この報告書ですが発表当時、投資家や企業に大きな衝撃を与えました。

企業は“8%を上回るROEを最低ラインとし、より高い水準を目指すべき”と記されていたからです。その理由は、ROEが8%を上回る場合のみに付加価値を創造できるとされたからです。ですから8%を下回るときは価値が創造できないため、ROEが上がると株価も上がるという関係が見られなくなります。1株当たり純資産が株価を支えるためPB”R”OEモデルは横這いとなるのです(図中の黒点線)。

3月11日の日経平均株価は868円安となり3万8820円まで下げました。
日経平均株価がいったん、4万円台に乗せたことで、市場に達成感が広がりましたが、これまでの株高で稼いだ利益を確定するために手仕舞いの売りをする投資家が少なくなかったことが大きな要因です。

株価が下がり始めると相場の先行きに不安を感じる方も少なくないでしょう。

そこでPB”R”OEモデルを使って、日経平均株価の適正と見られる水準を試算してみます。

次に紹介する計算は難しく思われるかもしれません。ですから、そういう方法もあるのかという程度で捉えてもらって十分です。

足元の日経平均株価は割高と言える?言えない?

まず、日経平均株価の1株当たりの純資産は2月末の日経平均株価3万9166円÷PBRの1.50倍から求めると2万6110円です。一方、日経平均株価の1株当たりの予想純利益は2365円(日経平均株価3万9166円÷今期予想PERの16.56倍)です。

足元の1株当たりの純資産にこの純利益を足して、今期予想の1株当たり配当額となる677円(日経平均株価3万9166円×今期予想配当利回りの1.73%により算出)を引いた値が今年度末予想の1株当たりの純資産2万7798円です(予想1株当たり純資産=1株当たり純資産+予想1株当たり利益―予想1株当たり配当)。

仮に、来期増益率を8%程度と考えましょう。この場合に、先ほどの日経平均株価の1株当たりの予想純利益が8%増えますから、2554円です(1株当たりの予想純利益は2365円×1.08)。その結果、来期予想ROEは9.2%と計算できます。

ここで「PBR= -2.03 +0.38×ROE」のPB”R”OEモデルを使います。ROEに9.2%を入れると、妥当なPBRは1.466倍となります。さらに、今年度末予想の1株当たりの純資産の2万7798円を乗じれば(1.466倍×2万7798円)、日経平均株価の適正と見られる水準は4万752円と試算されました。

来年度の増益率が8%であれば、日経平均株価の試算値は4万円を超える計算となることがポイントです。PB”R”OEモデルから見ると、足元の日経平均株価は割高とは言えないようです。

吉野 貴晶:ニッセイアセットマネジメント 投資工学開発センター長

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