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「数字を追い求める人」が幸せになれない根深い訳 「不安」の価値を知れば今より「自由」になれる

東洋経済オンライン / 2024年3月16日 9時20分

「良い人間であるのは難しいが、良い行いはできる」のと同じで、「幸せである」のは難しくても、「幸せになる」ことは可能なのです。この違いは微妙ですが、非常に重要です。

就職できても、なぜか幸せになれない理由

私の友人、Fの話をしましょう。彼の求職活動についてです。

Fは以前、求職活動をしていました。Fは私に電話をしては、つらい、つらいとこぼしていました。彼によれば、「求職活動はマラソンよりもずっとつらい」のだそうです。

「マラソンは、ゴールがハッキリしている。でも求職活動は、明日終わるかもしれない。ずっと終わらないかもしれない。毎回、面談前に『これで終われるかもしれない』と思いながら臨み、ダメならまた振り出しに戻る。毎回その繰り返しで、毎日が地獄。就職さえ決まれば天国なのに」

私が彼の求職活動を手伝うことはできません。

でも、少しでも役に立てるならと、彼の愚痴を聞いてあげていました。

そうするうちに、彼の就職が決まりました。

私は心から「おめでとう」と言いました。

でも、電話の向こうの彼の声は沈んでいます。

彼はこう言います。

「新しい職場でうまくやっていけるか心配だ。上司や同僚はいい人だろうか。そもそも少し自分を盛り気味でアピールしてしまった気がする。『思ったよりもできない奴だ』と思われるんじゃないだろうか」

そんなことを考えると、毎日眠れないのだそうです。

就職が決まれば地獄から天国へ華麗なる転生を果たすはずの彼でしたが、そうはいかなかったようです。

彼の幸せはどこにあるのでしょうか。

結果や目標にとらわれると幸せになれない

彼は求職活動中「これがうまくいったら苦しさが終わる」という未来への期待ばかりを見続けて「いま、この瞬間」を見ていませんでした。

求職活動中、彼にはさまざまな出来事があったはずです。

うまく履歴書が書けたり、尊敬できそうな人に出会ったり、思わぬ親切や、アドバイスをもらったり、そうした嬉しさや喜びを感じていたはずです。

もちろん、つらいこともあったでしょう。

履歴書の写真が変だったり、圧迫面接を受けたり、なにより不採用通知をもらえば、自分を否定されたような気分にもなったでしょう。

だからといって「求職活動中に嬉しさや喜びはない」と言ってしまうのは、不公平というものです。

彼の求職活動は、つらくとも、不幸ではなく、幸せな人生の一場面ではあったはずなのです。

Fにとって求職活動は、いわば人生の冒険です。

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